お墓を建てようと考えたとき、多くの方がまず感じるのが「どこの石材店に頼めばいいのか、まったくわからない」という不安ではないでしょうか。
住宅や自動車と違い、お墓は一生に一度の買い物です。比較した経験もなければ、知識もない。それなのに、金額は決して安くない。「騙されたらどうしよう」と感じるのは、ごく自然なことだと思います。
実際に、お墓に関するトラブルは少なくありません。国民生活センターへの相談件数を見ると、仏壇や葬儀関連と比べてもお墓に関するものが際立って多いという調査結果もあります。
その背景には、お墓の販売に特別な国家資格が不要で、業界全体の統一基準がなかったという構造的な問題があります。
しかし近年、この状況を変えようという動きが石材業界の中から生まれています。今回はその代表的な二つの仕組みをご紹介します。
【決定版】石材店選びの進め方の第1ステップ
① 「お墓ディレクター」制度とは

「お墓ディレクター」制度は、お墓を販売するうえで必要な宗教・埋葬・供養に関する知識、石の素材の特性、加工方法、法令関係等の知識を習得することを目的にスタートしました。
主催するのは一般社団法人日本石材産業協会です。お墓に関する正しい知識を多くの方に広めるため、検定試験が始まりました。
1級と2級があり、お墓の種類や形、お墓の歴史や文化、石材の種類や加工方法などお墓自体の知識だけでなく、埋葬についての法律や供養についての知識など、幅広いジャンルで出題されます。
消費者にとって大切なのは、お墓ディレクターがいる事業所は「お墓ディレクターのマーク」を表示して、しっかりと専門家が在籍していることを示すことができます。 店頭やホームページでこのマークを確認することが、業者選びの一つの目安になります。
ただし、一点補足しておきたいことがあります。お墓ディレクターは知識を証明するものであり、技術や石質の判断は含まれません。石材店選びは複数の視点から見ることが必要です。「資格があるから絶対安心」とはならないことも、念頭に置いておきましょう。
まず選択肢の一つとして、「お墓ディレクター1級」の資格者がいること、が一つの条件となるでしょう。

② 「墓石工事契約等ガイドライン」制度とは
もう一つ、ぜひ知っておいていただきたいのがこちらの制度です。

ガイドラインは24項目のルールを定めており、順守事業者は22項目以上に当てはまる場合に自己申告し、登録されます。
具体的な内容を少しご紹介すると、「施工内容、価格など必要な情報を明確でわかりやすく説明します」「パンフレットなどの情報ツールは、分かりやすい表現・表記をするよう配慮し、不当・虚偽表記・誇大広告は行いません」 といった内容が含まれています。当たり前のことのように聞こえますが、これが守られていないからこそトラブルが起きているのが現実です。
つまり、
「ちゃんとお客様の方を向いた体制を整えているか?」ということ。
また、登録店と消費者の間でトラブルや苦情が解決できず、その影響が大きいと判断された場合、ガイドライン運営委員会が解決の助言や調停の支援を行います。 万が一のときに相談できる仕組みがあることも、消費者にとって大きな安心材料です。
「もし、トラブルが発生しても、運営母体が助言、調停を行ってくれる」ということ。
順守事業者かどうかは、日本石材産業協会のホームページにある加盟店検索ページから地域別に調べることができます。
このガイドライン登録石材店であること、この条件が入れば、かなり信頼できる石材店である可能性が高くなります。候補としては、申し分ないと思います。

【決定版】石材店選びの進め方の第2ステップ
お墓つくりのトラブルでよく目にするのは、「墓石の種類」に関するトラブルです。
石というのは、自然に採掘されるものなので、非常に微妙な違いが発生しやすいという性質があります。また、日本はもとより世界各国から採掘されるものですから、多種多様で、私たちお墓のプロでも、判別が難しいことがあります。ましてや、素人では判別はほぼ不可能だと思われます。
それを利用して、全く違う石を名称をごまかして販売、施工したり、外国産の石を国内産と偽って販売したりという極めて悪質な方法で商売している石材店がかつて存在しました。
逆に、本当は同じ石なのに、採掘した場所、採掘した時期が異なるため、かなり見た目が異なり、違う石だと判断してしまったという残念な事例も全くないとも限りません。
そういう多いトラブルを未然に防ぐ効果がある、信用を高めるための仕組みとして、「石材産地証明書」というものがあります。
石材産地証明書という選択肢

石材産地証明書には原石名、採石地、採石者、加工者、施工者が明記されており、この証明書により商品に関する確かな情報を確認することができます。 以前ご紹介した「建てたお墓の石が説明と違った」というトラブルを防ぐためにも、事前にこの書類を発行してもらえるかどうかを確認することが有効です。

また、「国内加工証明書」というものもあります。日本で採掘した石であるにもかかわらず、外国で加工する墓石というのが広まり、明確に外国加工と国内加工を区別するために、設けられました。
【決定版】石材店選びの進め方の第3ステップ
お墓は「誰から買うか」が非常に重要です。業者を選ぶ際の目安として、以下の点を確認してみてください。
まず、
「お墓ディレクター」(できれば1級)の有資格者が在籍しているか?
お墓に関する幅広い知識を持つ専門家がいることは、相談の質に直結します。
「墓石工事契約等ガイドライン」の遵守事業者として登録されているか?
日本石材産業協会のホームページで簡単に調べることができます。
「産地証明書」「国内加工証明書」を請求するか?
日本の石で、という部分をこだわるなら、この仕組みは必要かもしれません。すべての石に発行できるかどうかは分かりませんが、この仕組みを利用することはアリですね。
ここまでが条件だと思っても構わないかもしれません。そして、その候補の中から、あなたにとっての一番を見つけるのです。実際にお店に行って、いろいろな話をしてみてください。あなたの疑問、質問をぶつけてみてほしいのです。
- お墓の構造はどうなるか?
- あなたの好きな石は扱えるか?
- 日本の石の違いを詳しく説明してくれるか?
- デザイン墓石は施工実績は多いか?
- 地震で倒れるお墓と倒れないお墓の違いは?
- 基礎工事はどんな方法?
- お墓の文字は何を彫刻したらいいの?
- お墓のメンテナンスはどの程度になる?
- 草が生えやすいお墓と生えにくいお墓の違いは?
- 納骨はどんな方法でしますか?
- お骨は土に還るのですか?
- 雨漏りしないお墓を作ってほしいのですが、出来ますか?
- メンテナンスフリーなお墓って作れる?
- お墓の引っ越しを前提に建てたいんですが?
など、ありとあらゆる質問をぶつけてみてください。それだけはありませんよ。あなたの自分だけの質問でも構いません。家族のこと、お墓に入る家族のこと、お墓へのこだわり、お墓を建てるにあたり一番大事にしていること、お墓の思い出、ありとあらゆる質問をぶつけてみてください。
そして、どんな質問にもしっかりと答えてくれること、どんなに長くなっても付き合ってくれること、お墓のプロとしての回答が返ってくること、そんなことを確認しながら、本当に信頼できる石材店か、高額なお墓を建てることを任せても大丈夫だと判断できる石材店かということが確認できるまで、納得できるまで。
結局、お墓という大切で、高価なものを建てる石材店を選ぶ、というのは、あなたにとってのたった一つの業者を選ぶこと、でもあるのです。
大切なご家族を偲ぶ場所だからこそ、納得のいく業者選びをしていただければと思います。

















