戒名の彫刻にはルールがあります
夜更新の兵庫県豊岡市のお墓と墓石のアドバイザー、おおきた石材店、大北和彦です。
明日から西日本に出張、銘石の採掘場を見学してきます。とても楽しみ。。。今日は寝ることができるでしょうか?(^_^;)
ところで、誰かが亡くなったら、お墓の戒名碑(副碑)に彫刻するんですが、これにはルールがあります。
とある戒名碑です。モザイクかけてあるので、ちょっとわかりにくいかもしれません。
子ども ← 母 ← 父 ← 祖母 ← 祖父
という順番で右ほど先祖の人から左の子孫へ、という流れになっているもの。これは最近ではほとんどこのパターンです。ですから、時々一行空けて、彫刻ってことが起きます。
ご主人よりも奥さんが先に亡くなった場合とか、子どもが先に亡くなった場合など、ですね。
これが、古いお墓の場合、「亡くなった順番」に彫刻、という戒名碑が稀にあります。親、子どもといったことを関係なく亡くなった人を右からどんどん彫刻していく手法です。でもそうなると、関係(夫婦、とか、〇〇の子供か、弟かといったこと)が分からなくなります。なので、必ず「関係」を彫刻するのがルールです。ただ、このルールをしっかりと決めておかないとわけわからなくなります。
この戒名碑の一部なのですが5人の人の戒名が彫刻してあります。それぞれモザイクが掛かっている部分は①の人の名前が彫ってあります。
つまり①の人がいて、②は①の奥さん、③は①の人の娘、とここまでは普通に理解できるのですが、④は①の人のお父さん、⑤は①のお母さんと彫ってあります。???うん??
となりますが、実は、亡くなった順番に彫ってあるなら、こういう順番はあり得ます。
④と⑤の人が長命だった。①と②は夫婦で早くに亡くなって、なんとその夫婦の娘も亡くなった。④と⑤にとっては息子夫婦とその孫娘にも先立たれて、ずいぶん寂しい老後だったんだろうな、と想像できます。
別の戒名碑ですが、⑥と⑧のモザイクは同じ名前が入っています。 ⑦、⑨、⑩、⑪の4カ所のモザイクには別の人の名前が入っています。
⑧、⑨、⑩、⑪の4人の人は全部関係が入っているので、⑥か⑦の関係者ってすぐわかるのですが、⑥と⑦は名前だけで関係がないので、2人の関係が全く分かりません。さらに、その前の代との関係も名前だけでは、分かりません。
このように戒名碑には、①家族の関係順、②亡くなった順という二つのルールがあるのですが、どちらにしても、しっかりとそのルールを守って彫らないと、せっかくの家族、一族の歴史がしっかり刻まれているのに、それが全く分からなくなってしまいます。
特に②亡くなった順はしっかりとルールを守って彫刻していかないと全くわけわからないものになってしまいます。十分考えて彫刻するべきでしょう。
ただ、これは施主(お墓の所有者)ではなく、彫刻する石材店の方がしっかりとプロとしての自覚をもって追加彫刻をするなら防げる問題だと思います。