父方のお墓、母方のお墓、2つのお墓を持っています。今後どうすれば??

おおきた石材店 代表 大北和彦
〇 お墓ディレクター1級
〇 墓地管理士
〇 石材施工技能士1級
〇 技能顕功賞
〇 一般社団法人日本石材産業協会正会員
おおきた石材店
昭和の初めより三代続く、兵庫県豊岡市の小さな石材店。震度7の地震でも倒れなかった「地震に強いお墓」と特許技術「雨漏りしないお墓、信頼棺」の正規代理店。百年後に残るお墓を作っています。

お墓のお悩み、聞きました。
悩むCさん父方のお墓、母方のお墓、2つのお墓を管理しています。凄く大変なので、今後どうすればいいのか、悩んでいます。。。



お答えします。2つ+αの方法があると思います。
どちらかのお墓をお墓じまいして、永代供養する、とか樹木葬に移す、というのはごく普通の方法。それが+αの方法です。誰でもやっている、誰でも思いつく方法。そうではない方法をご紹介します。
両方のお墓を残したい
ご相談者の場合、
「父方のお墓は浄土宗の寺院の境内にお墓がある。母方のお墓は真言宗で地域の共同墓地にあります。」という事情でした。
それぞれのお墓の特徴を知りましょう。
〇 お墓参りしやすいのはどっち?
〇 お墓そうじしやすいのは、どっち?
〇 墓域が広いのはどっち?
3つとも当てはまるお墓を残し、もう一方のお墓を「お墓の引っ越し」をして、残すお墓の場所に移す。
① どちらかのお墓を残し、もう一方のお墓をそこへ引っ越し
一番簡単な方法かもしれません。ご相談者の場合、父方のお墓の方がお参りしやすいので、そちらに母方のお墓を引っ越しする方法が考えられます。
その場合、いくつかの条件が発生します。
条件1 父方のお寺の管理者が了解してくれるか?


宗派の違うお寺がお墓を建てることを了解してくれるか?
という問題がありますが、ここは簡単。
事情を説明して、丁寧に説得するだけです。
檀家離れが進んでいる現在、そういった理由で断られることは少ないと思われます。
「墓檀家(だんか)」と呼ばれる、宗派が異なるけど、土地がないので、別の宗派のお寺の墓地を借りてお墓を建てている人も実は多くいます。それが認められるなら、問題はないと思います。
条件2 墓地区画内に建てられるか?


お寺の境内墓地はかなり狭い場合がほとんどなので、同じ区画内に建てることは諦めた方がいいと思います。隣の区画、あるいは、近くの区画、それもなければお寺の境内で空いている区画ならどこでもいいです。
離れていても、同じお寺の境内なら、一緒にお掃除して、お参りもできるでしょうし、離れていても同じ境内なら、以前よりもはるかに便利になると思います。
お寺の立場としても、同じ区画に建てられるよりも、別の空き区画に建ててもらう方がメリットがあるので、歓迎されるように思います。管理料が2区画分になるのは、デメリットではありますが。
条件3 母方のお墓のお寺の住職を説得する


これも説得が必要となりますが、さほど大きな問題はないと思います。
ただ、別の別宗派のお寺にお経を挙げに行かないといけない、というのに抵抗があるのかもしれません。ただ、昨今の檀家離れの現状を考えると、そういったイレギュラーな檀家さんも認める場合が多いように思います。どちらにしても、根気強く、繰り返しコミュニケーションと説得を繰り返すことが解決の近道だと思われます。
両方のお墓を引っ越しして、1つのお墓にしたい
①の方法が無理で、行き詰った場合、次善策もあります。ただ、費用は一番必要になるかもしれませんが。
② どちらのお墓も引っ越しして、1つのお墓に
豊岡市民なら、「市営霊苑」、あるいは地域で管理している共同墓地しか選択肢はなくなるのかもしれませんが両方のお墓を引っ越しして、市営霊苑、あるいは共同墓地の一区画に新しいお墓を建てる、あるいは両方のお墓の石を再利用して、お墓を建てる。それが第二の方法です。
こういった方法を俗に「両家墓」と呼んで、2つ以上の家墓を一つにまとめる、という手法です。
横型のお墓(言わゆるオルガン型など)の横長のお墓に両方の家名(〇〇家)と彫刻してある、という方法や
一区画を二つに割って和型のお墓が2基、小さく寄り添っているようなものもあります。


小さなお墓や、樹木葬にも両家墓はよく見かけます。


建てる時は、ある程度の費用が掛かりますが、後々のメンテナンスは半分で済みますし、お掃除も1件分で済むので、手間は少なくなります。
このやり方の最大のメリットは、初期費用は掛かるけど、2件以上のお墓 ⇒ 1件のお墓になるので、とても負担が軽くなるということです。また、新しく建てるお墓次第で、費用もある程度は抑えられます。
永代供養墓、樹木葬、納骨堂の注意点
永代供養、樹木葬、納骨堂など、他の選択肢もありますが、それぞれ一長一短があり、デメリットもそれなりにあります。また、これだけは避けた方がいいもの、もあります。
更に、こういった新しい供養の方法は、基本的に「共同墓」という側面がありますので、個人所有、個人使用の部分が極めて限られる形態です。
更に、意外と知られていないですが、こういった共同墓、というものは、ご遺骨をそこに納めたら、ご遺骨の所有権が施設管理者に移る、という条件の施設が多いです。自由にご遺骨を取り出したり出来ない場合がほとんどです。そういった法的な取り扱い部分もよく理解した上で、ご利用されることをお勧めします。
















