母の想い~お墓物語Ⅲより

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交通事故で最愛の夫と幼い息子も亡くした母の想いを私たちは想像することもできません。

 

「お墓物語」Ⅲ~つながりのものがたり~に収録された作品の中から、いくつかの作品をご紹介します。

 

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「歩道橋」

親父の眠る墓。その墓地公園の前には古めかしい歩道橋がある。手すりは錆びていて月日の長さを感じさせる。昔から恒例のお墓参りには必ずこの歩道橋を渡った。やけに長いし、階段も多く、おまけに時間もかかる。そんな事から中学生あたりから横断歩道のない国道を突っ切るようになった。

あれは高3の夏だ。いつものように車が来ないのを見計らって国道を渡った時だった。
「おい!そんなところを渡るんじゃねえ!」
僕を注意したのは見知らぬおじさんだった。普通なら「うるせえな」と思ったかもしれない。しかしその理由が意外なもので僕は思わず泣いてしまった。

この歩道橋は今から30年前に息子を亡くした母親の要望で作られた。その子は当時まだ5歳で墓参りに来た際、この道で車にはねられた。即死。母親の目の前での出来事だった。その子は2才の時に父親を事故で亡くして以来、毎月こうして母親とお墓参りに来ていたと言う。突然父親の眠る墓に入ってしまった少年。僕はその話を聞くなり胸が痛くなった。父親は思いがけない息子との再会を心から喜べただろうか。「パパ、来たよ」と言いながら元気な姿を見せ「パパ、またね」と元気に還る。そんなお墓参りを楽しみにしていたのではないか。

もっと生きていてほしかったよね。きっと。今だって、本当は。

この歩道橋を作った母親の気持ち。それは同じ悲しみを誰かに味あわすまいという願いなんじゃないかと思う。

まもなく老朽化に伴い、歩道橋は取り壊されることになった。今は真新しい横断歩道ができ、お墓参りをする人々の安全を守っている。しかし歩道橋はなくなっても母親の気持ちは消えないで欲しいと思う。そんな思いで僕はお墓参りをする。

 

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お墓はいろいろな別れを経て、出来上がります。その中でも「突然の悲しい別れ」を経てのお墓は、亡くした人にとって唯一の心の支えである場合もあります。
それぞれの人にそれぞれの「お墓物語」があります。

 

「お墓物語」Ⅲ~つながりのものがたり~のクラウドファンティング実施中(9月5日まで)

https://camp-fire.jp/projects/view/315325

 

 
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大北 和彦(おおきた かずひこ)
1966年生まれ。昭和元年頃から続く「大北石材店」3代目。さほどの強い動機もなく始めた石材業だったが、仕事を通じて石にかかわる楽しさ、墓の素晴らしさに目覚め、お墓のプロの証「お墓ディレクター2級試験」第1回試験に合格、その翌年初めての「お墓ディレクター1級試験」にも一発合格し、但馬で唯一の「お墓ディレクター1級を取得する石材店」となる。
本人は兵庫県でも指折りの「お墓好き」を自任するが、その大好きな墓石について、困っている、悩んでいる人が多いことに気づき、墓石についての疑問・質問に答えるため「お墓Q&A」をブログにて執筆中。
1000記事を目指している。