「お墓じまい」して後悔した事例
日本全国、お墓じまいがとても多く、大流行しているように思えます。
日本という国はこういう流行に流される傾向がありますが、実は、後悔している方もいらっしゃいます。
そんな事例をご紹介して、今、お墓じまいしようかと悩んでいる方の一助になれば、と思いました。

◇兵庫県豊岡市のお墓のアドバイザー大北和彦です
兵庫県豊岡市のお墓と墓石のアドバイザー、おおきた石材店です。
☑ 兵庫県北部で唯一の「お墓ディレクター1級」
☑ 雨漏りしないお墓「信頼棺®」正規代理店
☑ (一社)日本石材産業協会正会員
☑ お墓の法律のプロ、「墓地管理士」取得
おおきた石材店はお墓のことを全く知らない人にも、お墓を建てる時に大事なことをわかりやすくお伝えすることを第一に考えて情報発信しています。
「お墓じまい」判断が早すぎた
「市営墓地でお墓じまいの工事を見かけ、工事の人に話しかけたら、今お墓じまいとても多いですよ、と言われ、気になり、お墓じまいの契約をしてしまった。工事が決まってから、妻と子供たちに怒られた。平謝りに謝って依頼した石材店に契約の解除をお願いした。」
周囲のお墓で「お墓じまい」がたくさんされていて、自分もしなくては、と考えてしまう方、実は多い気がします。でも、もう少しよく考えて。
・ 今、しなくてはならない理由とは?
・ 奥さま、子供たち、兄弟などそのお墓にまつわる、関係する人にご相談しましたか?
・ ご両親などそのお墓に眠っているみなさんとの今までの関係を断ち切ってしまう。それであってもしなくてはなりませんか?
・ あなたを含めて、今生きているご家族が亡くなった時、供養される場所、想定していますか?
こういったことを考えてみてください。お墓じまいしてしまったら、取り返しは出来ません。そのくらいのことを考える時間は、あってもいいのではないでしょうか?
「お墓じまい」したら、ぽっかりと心に穴が開いて。。。

後継ぎがいなくて、お墓じまいしました。ただ、その後、お墓がなくなった最初のお盆、毎年お墓参りしていたので、またお花を作って、と考えた時、そうだ、今年からお花作らなくていいんだ、と思い出し、お花を作るのが毎年大変だったことから解放された安ど感と同時に、お墓参りできないという喪失感も急に感じてしまって、心にぽっかり穴が開いてしまったような気持ちになってしまいました。
お墓じまいしてしまった後、お墓参りしなくてもいい、という気持ちよりも、お墓参りできなくなったという気持ちの方が強くなってしまいました、というご意見を聞いたことがあります。
それから、もしかしたら、『毎年お墓にお花を用意したり、お墓そうじが大変。だから、お墓じまいしました』という人に言えない理由でお墓じまいしてしまった方もいるのかもしれません。
もうお墓じまいしてしまった、という方はそういうことでご自身を責めるのはやめましょう。眠っているご先祖様はあなたの行為を責めてはいませんよ。ただ、まだ考えているだけの方は、もう少し考えてから判断してください。自責の念で、あなたご自身があなたを責める原因を作ってしまうかもしれないので。
上記の事例の場合、たくさんのお花を作ること自体が大変なら、そのお花を少なくする、もしくは、なくすことはお墓じまいしなくてもできます。そういう方法を検討されたら良かったのかもしれません。
本当に、いろいろ考えてからでも、遅くない、ということはよくありますから。
散骨したら、お参りする対象がなくなった
お墓じまいして、お骨を海に散骨しました。もともと海が大好きな両親だったので。
ただ、散骨行為自体は自分ですることが出来ず、業者の方にしていただく、ということになりました。海のどこに撒いたのか教えていただいたのですが、なんだかぼんやりしたこのあたりという感じになり、海なので、流されて、そこではなくなってしまっている気もします。結局、
手を合わせる場所は自宅のミニ仏壇になってしまっています。なんだかそれも、違う気がしますが。。。
散骨、特に海洋散骨されてしまったんですね。海洋散骨は何となく、「自然に還る」というイメージが強く、人気があるように思いますが、実は散骨される多くの方は、すべてのお骨を散骨されるのではなく、一部を残し、別の形で供養されるようです。理由はおそらく上記のような理由なのだろうと思われます。
全て散骨するか、一部残すかは、散骨されるご自身が遺言、あるいはそれに近い形で「全骨撒いてくれ」と言い残されたとしても、残された家族、遺族のために残す、という人が多いようです。日本人自体が海洋散骨という経験が極めて少なく、経験値がないので、リスク回避という意味合いもあるのかもしれません。
繰り返し申し上げますが、取り返しができないことなので。
永代供養墓に移したんですが。。。
お墓をしまって、同じ寺院にある永代供養墓へ移しました。ご住職の『跡継ぎのいない、たくさんの方が移られていますよ。あなたもどうですか』というアドバイスでお墓じまいを決めたのですが、なんだか一軒家からアパートへ移ったような気がして、ご先祖様に申し訳ない気がして。
お墓は一区画一区画分かれていて、独立している一軒家。永代供養墓は見かけは立派な作りですが、中は集合住宅の雰囲気になるのは確かに、そうなのかもしれません。永代供養墓の中にお骨を納めるのですが、そのご先祖様のお骨はどこにあるか、確認もできない場合が多いです。
また、その永代供養墓自体は管理者の所有物なので、その所有物内に納められるあなたのご先祖様のご遺骨もあなたの所有物ではなくなり、管理者の所有物になる、ということ御存じでしたか?
そういった法的な部分を横においても、たくさんの他人のご遺骨とともに一つの空間に納められるのは集合住宅というイメージを持ってしまうのは、仕方ないのかもしれません。
そういったことも含めて、お骨が次に行く場所、供養される場所は良く調べて、良く理解されてからお墓じまいしても遅くはない気がしますが、いかがですか?
永代供養墓の説明会に行ったが、心配になった
お墓じまいして、同じ境内に新しく建てられた永代供養墓へ移ろうと考えています。その永代供養墓の説明会があり、参加したのですが、参加者の一人が、『もし地震で倒壊してしまったらお骨はどうなりますか?』と質問された方がいて、私も少し心配になりました。建てられた石材店の担当者は、『石なのでしっかりしていて、大丈夫ですよ』と言っていましたが、お墓でも倒れるのに、こんな大きな建物が絶対倒れないとは考えにくいし、倒れたら中のお骨がめちゃめちゃになって区別できなくならないだろうか、と心配になってきました。
ご心配になった気持ち、わかります。そのあなたのご心配、当然の考えだと思われます。近年、ほとんどのご寺院に建っている永代供養墓は石でできています。でもご存じですか? 石は構造材としては不適格なのです。折れたり割れたりするから、です。
また、通常の建て方では、石が折れたり割れたりする前に、永代供養墓全体が倒れてしまう可能性の方が高い気がします。理由は屋根がとても重たいから。屋根の上に観音様とかが乗っていませんか?
そうならない非常によく考えられた永代供養墓もごくわずかに存在しますが。。
そのご心配に配慮するなら、永代供養墓に移るのは少し待たれた方がいいかもしれませんね。場合によっては、お墓じまいを少し先延ばしにしてもいいのかもしれません。お墓は確かに倒れますが、他のお家族のお骨と一緒になって区別付かなくなるというリスクは低くなります。
他にも
今後、管理できそうにないので、お墓じまいしたんですが、費用が掛かり過ぎた。お墓を残しておけば、管理料だけで済んだのに。。。
樹木葬という新しい供養方法を選んだが、2人分のお骨しか収めることが出来ず、たくさんのご先祖のお骨をどうしたらいいか、とても困った。
お墓じまいしたいとお寺に相談したら、お寺を抜けるのか、と住職と大喧嘩になった
お墓じまいした後、子供たちに報告したら、『お母さんが眠っているのに何てことしたんだ』と怒られた。子供たちのためを思ってやったのに、逆に疎遠になってしまった。
そのお墓は、あなただけのものではありません。
あなたの家族、兄弟姉妹、そのお墓に大切な人が眠っているすべての方、たとえ他人であっても定期的にお参りしていた人、そんな人たちの人生の一部になっている可能性があります。
あなた一人の安易な判断で多くの人の人生の一部をなくしてしまう可能性があるということをよく考えて、時間をかけ、多くの人に相談し、皆が納得する形で判断しましょう。