「国産で建てたい」が一定数ある
春のお彼岸が近づくと、家族でお墓の話が出やすくなり、「できれば国産石で建てたい」という希望も多くはなくても希望する人はいます。そういう場合、早めに動くといいことがある、という話。

◇ お墓ディレクター1級:お墓のプロの証、1級取得者は全国で2桁
◇ 墓地管理士:お墓、納骨堂、永代供養墓の法律の専門家
◇(一社)日本石材産業協会正会員、兵庫県支部理事
◇ 石材加工技能士1級:石の加工の技能を表する国家資格
◇ 雨漏りしないお墓「信頼棺®」正規代理店
◇ 「地震に強いお墓」施工店
おおきた石材店
昭和の初めより三代続く、兵庫県豊岡市の小さな石材店。震度7の地震でも倒れなかった「地震に強いお墓」と特許技術「雨漏りしないお墓、信頼棺」の正規代理店。百年後に残るお墓を作っています。

まず、なぜ国産墓石を選ばれるのか?
理由の一つは、産地が分かる安心感。
西日本では、瀬戸内地域で墓石用石材が多く採掘されていて、産地名がブランドとなっている場合が多いです。
「大島石」、「庵治石」「北木石」「万成石」といった石が西日本で特に有名で、ブランドとなっている石ですが、九州・佐賀県産の「天山石」も含めて関西、西日本では有名な石となっています。
それ以外にも岡山県産の「備中青みかげ石」だとか、広島県の「議院石」など、いずれも瀬戸内地区と呼んでいい場所です。いずれも産地が明白で、しっかりしていて、安心感がある、という部分が選ばれやすいのかも。
次に、石の風合い、長く残すものとしての納得感など。
国産の石は多く、長く日本で建てられているので、なじみやすい、風景に溶け込めるという部分はあるのかもしれません。外国産の石は目立つ色合いの石が比較的多いので、目立ちやすい反面、違和感が出る部分があるのかもしれません。
更に、国産石というブランド石材をあえて選ぶ方もあります。なぜなら、ブランドだから、という理由。
国産を希望する方は、多くはないながら、一定数あります。それは、こういった理由で自然なことだと思います。
ただし国産は「枠が小さく」なっている
国産石は、採掘できる量だけでなく、実際に形にするまでに「採掘→加工→施工」の工程が必要。その各工程で担い手が減っているため、「石がある」だけでは進まないことがある。
- 採掘側:採石・丁場の縮小、後継者不足、採掘制限などで供給が安定しにくい
- 加工側:加工工場の減少、職人不足で加工枠が埋まりやすい
- 施工側:繁忙期(彼岸前)に現場枠が取りづらい
結果として「希望の石種が選べない」「加工が混んで納期が読みにくい」「施工日が先になる」といったことが起きやすい。
また先日、聞いた話ですが、かなり有名な「大島石」の採掘元の石材店が事業を辞められるということも聞きました。
日本全体として、お墓を建てる方が減っています。当然そうなると、今まで国産のお墓を建てていた枠が埋まらないので、採石業者、加工業者も淘汰されて、少なくなっていく傾向は避けられません。
“早めに動く人”が有利になる理由
国産は特に、早い段階で候補を固めるほど選択肢が残りやすい。逆に「彼岸に間に合わせたい」など時期が先に決まると、石種や仕様を妥協しやすくなる。
早めに動くメリットは主に3つ。
- 石の選択肢が広い(候補が残っている)
同じ石種でも、品質はそれぞれ異なり、より品質の良い石を選択できる可能性が高まる - 加工枠・施工枠の調整がしやすい(繁忙期の“詰まり”を避けやすい)
加工、施工が集中すると、どうしても時間がかかりやすいし、納期がズレやすい - 比較検討が落ち着いてできる(焦りの判断ミスを減らせる)
いろいろな部分で確認する時間も出来、ミスが起こるリスクも軽減できる
「国産墓石で建てられなくなる」と感じる人が増える背景
「国産が完全に無くなるというより、実務上は「希望の石種・希望の時期・希望の予算」を同時に満たしづらくなり、結果として「国産で建てにくい」と感じやすい。特に影響が出やすいのは、
- 特定産地・特定石種に強いこだわりがある
- 彼岸前など短い期間で完成させたい
- 価格を抑えたい(ただし安全性や基礎は落としたくない)
しかし、それぞれは利益相反する関係があり、現実的には、3つのうち、どれを優先するか、それが決まれば、それ以外の二つはある程度妥協せざるを得ない、というのが現実です。
ただ、条件の二つ目。「短い期間」は可能な限り早いタイミングで始めれば、ある程度の余裕が生まれるので、可能な場合もあります。
(※ただし、おおきた石材店は短納期はお勧めしておりませんので、そちらを優先される方は他の石材店にご依頼されることをお勧めします。詳しくはご相談ください。)
いま出来る、現実的な進め方(相談→現地確認→設計→施工時期)
ここからが本題。「早めに動く」といっても、いきなり契約ではなく、順番を守るとムダが少ない。
Step1:相談(目的と条件を揃える)
最初に決めるのはデザインより条件。
- どこに建てるか(墓地・区画の条件)
- 予算の上限(目安でOK)
- 何を優先するか(国産/耐震/維持のしやすさ 等)
国産希望の場合は、石種を一つに絞るより候補を2〜3持つと現実的。
Step2:現地確認(区画と下地で9割決まる)
現地で確認するポイントは、寸法だけではない。
- 地盤状態、排水、水の溜まりやすさ
- 既存外柵の状況、基礎の取り方
- 通路や搬入条件(施工しやすさ=費用と納期に直結)
ここを先に押さえると、見積りの精度が上がり、後出しの増額が減る。
Step3:設計(“国産×長持ち”は設計で決まる)
石種の良さを活かすには、基礎・据え付け・水の逃がしなど“長持ち設計”が重要。
また「国産=高い」になりすぎないよう、
- 形・サイズ・彫刻量など調整しやすい要素
- 耐震など削りにくい安全要素を分けて整理する。
ここで「耐震をどの程度実現するか」を組み込むと、安心と予算のバランスが取りやすい。
Step4:施工時期(彼岸にこだわりすぎないのも戦略)
彼岸前は混みやすいので、「完成時期」を固定しすぎると選択肢が狭くなる。
- 彼岸に“間に合わせる”より、彼岸は「相談・現地確認・方向性決め」に使う
- 完成は次の良い時期(天候や施工枠)に合わせる。お盆、秋彼岸、命日など
この考え方だと、国産の選択肢も確保しやすい。
まとめ:早めに動く=契約を急ぐ、ではない
国産墓石で後悔しないコツは、「早く決める」より「早く整える」。
相談で条件を揃え、現地確認で土台(基礎部分)を固め、設計で安全と維持を整え、施工時期は枠を見て決める。
お彼岸は家族が集まりやすい時期なので、まずは“候補を2〜3に広げる”ところから始めるのが現実的。















