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    墓石の「色」は、なぜ変わるのか——風化・変色・苔の正体

    お墓参りのとき、こんなことが気になったことはありませんか。

    「建てたときはきれいな白・グレーだったのに、全体的に黄ばんできた気がする」「黒っぽい筋や染みがついてきた」「緑の苔が出てきたけど、これは掃除すれば取れるのだろうか」——。

    石は変わらないように見えて、確実に変化しています。その変化には複数の原因が絡み合っていることが多く、プロが見ても一目では判断しにくいケースもあります。今回は、豊岡・但馬地域で多い白・グレー系の石を中心に、代表的な変化の種類と背景を整理します。

                                  

    ◇ お墓ディレクター1級:お墓のプロの証、1級取得者は全国で2桁
    ◇ 墓地管理士:お墓、納骨堂、永代供養墓の法律の専門家
    (一社)日本石材産業協会正会員、兵庫県支部理事
    ◇ 石材加工技能士1級:石の加工の技能を表する国家資格
    ◇ 雨漏りしないお墓「信頼棺®」正規代理店
    ◇ 「地震に強いお墓」施工店

    おおきた石材店

    昭和の初めより三代続く、兵庫県豊岡市の小さな石材店。震度7の地震でも倒れなかった「地震に強いお墓」と特許技術「雨漏りしないお墓、信頼棺」の正規代理店。百年後に残るお墓を作っています。

    目次

    「濡れると色が変わり、乾くと戻る」——これも石の性質

    白・グレー系の石に特有の現象として、雨で濡れると色が濃くなり、乾くと元に戻るというものがあります。雨上がりにお墓を見ると「なんだか汚くなった?」と感じても、乾けばまたきれいな白・グレーに戻る——多くの方が経験していることだと思います。

    これは石の吸水性によるもので、それ自体はある程度自然な挙動です。ただし、この「濡れる・乾く」を何年も繰り返すうちに、水分と一緒に汚れや鉄分・ミネラル成分が石の内部に少しずつ浸透し、乾いても色が戻らなくなることがあります。「乾いたはずなのに、以前より全体的に暗くなった気がする」という状態がこれです。

    この変化は、吸水率が高い石ほど早く、顕著に現れます。一方で、吸水率が極めて低い緻密な石の中には、濡れても色がほとんど変わらず、乾燥後も変色が残りにくいものもあります。同じ「白系」「グレー系」でも、石の種類によってこの挙動は大きく異なります。

    お墓ディレクターの視点

    お客様にこの話をするとき、よくこんな例を出します。「墓地に行ったとき、一番下の石だけ黒ずんでいるのに、その上の石はまだ白いお墓を見かけませんか」——。あれは、地面に近い下段の石が雨水の跳ね返りや湿気を受け続け、吸水と乾燥を繰り返した結果、変色が定着してしまった状態です。上段と下段で同じ石を使っていても、水分にさらされる量の差がそのまま見た目の差になって現れる。吸水率がいかに重要かを、一目で示している例だと思っています。おおきた石材店では、吸水による変色が起きやすいと判断した石は、お客様へのご提案の選択肢から可能な限り外すようにしています。「今きれいに見える石」ではなく「長くきれいでいられる石」を基準に選んでいただきたいからです。

                                  

    白・グレー系の石が「黄ばむ・くすむ」理由

    白やグレー系の石は、経年とともに全体的に、あるいは部分的に黄みがかってくることがあります。原因は主に二つです。

    ひとつは石に含まれる鉄分の酸化です。花崗岩系の石には微量の鉄分が含まれており、雨水・酸素と反応して酸化鉄(赤サビ)になります。白・グレー系の石では、この鉄分の酸化が表面全体に薄く広がることで、黄みや茶みがかった変色として現れます。これは石の内部から起きる変化のため、表面をいくら磨いても根本的な解決にはなりません。

    もうひとつは水あか・カルシウム成分の蓄積です。雨水には空気中の二酸化炭素が溶け込んでおり、石の表面に水が蒸発した跡としてカルシウムや炭酸塩が白・黄色みがかった膜状に残ります。豊岡のような多雨地域では、この蓄積が早くなります。こちらは適切な方法で洗浄することで、ある程度改善できます。

    お墓ディレクターの視点

    「石の色が変わった」と相談を受けてお墓を見に行くと、多くの場合は水あかの蓄積と鉄分の酸化が重なっています。実際には複合的な原因であることが多く、どちらが主因かを一目で断定するのはプロでも難しいことがあります。まず「どんな変化が起きているか」を観察し、気になる場合はご相談ください。

                                  

    黒っぽい筋・染みがつく理由

    白・グレー系の石に黒い筋や染みが出ることがあります。これは主に二つの原因が考えられます。

    ひとつはカビや黒藻の繁殖です。石の表面の微細な凹凸に根を張り、黒ずんだ汚れとして見えます。白・グレー系の石は黒系の石よりも目立ちやすく、特に北向きや日陰になる面に多く発生します。

    もうひとつは金属製品からのもらいサビです。花立や線香立てなど金属製の付属品が雨でサビ、その色が石に移ることがあります。この場合は「石のサビ」ではなく外部からの色移りなので、原因となる金属製品をステンレス製や陶器製に替えることで進行を止められます。

                                  

    苔・緑色の変色——生物による変化

    石の表面に緑色の変色が見られる場合、多くは藻・苔類の繁殖です。水分と光がある環境で育ち、水が溜まりやすい場所や、彫刻文字の凹部に多く発生します。

    これらは見た目の問題だけでなく、根が石の表面に入り込むことで長期的には石の劣化を促進させます。吸水率の高い石ほど内部に水分を含みやすく、苔・藻が繁殖しやすい環境になります。

    お墓ディレクターの視点

    豊岡市は年間降水量が多く、湿度も高い地域です。苔・藻の発生スピードは、乾燥した地域のお墓とは比べものになりません。石の選択段階で吸水率を確認しておくことが、10年後・20年後の見た目の差に直結します。

                                  

    石選びは「今の見た目」より「10年後の見た目」で考える

    展示場に並んでいる石は、どれもきれいに研磨されています。その場で比べても、経年変化の差はわかりません。

    石を選ぶときに確認してほしいのは、「吸水率」「鉄分の含有量(サビの出やすさ)」「硬度」の三つです。これらは産地・等級によって異なり、数値として確認できるものです。「自社で扱っている石の名前や産地を答えられない石材店には注意」という一昨日のチェックポイントは、まさにこの点を指しています。

    お墓は建てた後、何十年も屋外で雨風にさらされます。豊岡のような多雨・多湿の気候では、石の選択が長期的な維持管理の手間と見た目に大きく影響します。「今日きれいな石」より「20年後もきれいな石」を選ぶ視点を持ってください。

    お墓ディレクターの視点

    「どの石もいずれ変わる」というのは正直なところです。問題は変わるかどうかではなく、どれくらいのペースで変わるか、どんな変わり方をするか。それが石の品質の差です。「安い石でも見た目は同じ」は建てた直後の話で、5年・10年経つと差が出始めます。石の選択は、長期的な視点で判断してください。

                                  

    ※ご依頼を前提としない、どんなご質問でもお気軽にどうぞ

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    この記事を書いた人

    兵庫県豊岡市のお墓と墓石のアドバイザー。兵庫県北部での唯一の「お墓ディレクター1級」取得。供養のプロ、墓地管理士。「お墓」に関する記事を1500以上執筆中。現在お墓に関する記事を365日毎日更新継続中。(一日怪しい日があるが。。。)地震に強いお墓と雨漏りしないお墓を建てています。

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