昔のお墓と現代のお墓は別物です

おはようございます。
但馬、豊岡のお墓と墓石のプロ、おおきた石材店の大北和彦(stoneman-ohkita)です。

先日、お墓の打ち合わせをしていると
ご近所さんがやってきて、いろいろ話をしているうち、
「お墓にコンクリートをするのは、やめたほうがいいね」と仰られました。

関西では、こういったことを言われる人、年配者を中心に多いです。
まあ、いろいろなご意見はあっていいと思いますし、
その時もあえて、私は意見を言いませんでした。

ですが、この場で私の個人的意見を言わせてもらえれば、

「今時、それはないでしょうよ」

ですね。(^_^;)そうおっしゃる方の気分は凄くわかりますし、なぜそうおっしゃるのかも、分かります。

ですが、現代のお墓を建てるのに、コンクリートを使わないなんて、少々、認識不足です。たまに、お寺のご住職もそう言われる方もいらっしゃいますが、もう、そんなこと言ってられる程、お墓はのどかなものではありません。

昔ながらの、小さな、故人だけ、あるいはご夫婦だけのお墓なら、私はむしろ、コンクリート無しでもいいのかなって
考えます。(但し、傾いたら直すメンテも含めて、という条件で)

大きさも、一人で取り外せて、元に戻せるような大きさなら、です。ですが、今のお墓はそれほどコンパクトではありません。総重量が1トンくらいのお墓もあります。そんなものが傾きだしたら、到底、人力では直せません。また、危険でもあります。施工も大変です。

 

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「そうは言ってもね。。。お墓にコンクリートを使うって、どうも抵抗があってね。。。だいたい、お骨が土に還らないじゃないの?」

 

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はい、そうですね。コンクリートの上では、お骨が土に還らない。そうですね。でも、お骨収まる納骨スペースの部分はコンクリートをしてません。
その部分だけ、空いているんです。(息抜き穴と呼びます)なので、土の上に納骨、というルールは守られています。

そして、もっと言うなら、今のお墓のお骨はほとんどの場合、土に還りません。土の上にお骨を置いただけでは、かなりの年月経過しないと土に還ることはありません。昔のお墓は、土葬でした。1m前後、墓穴(まさしく正しい意味での墓穴ですね。)を掘ってその中に棺桶ごと埋葬、つまり埋めたんです。

そのうち木製の棺桶が腐ってなくなり、ご遺体も土の中で様々な微生物やバクテリアなどに分解、消化されてだんだんなくなりご遺骨も同様の流れで、最終的には50年程度すると、全てなくなってしまい、土に還る、という状態になります。

魂魄(こんぱく)という言葉、ご存知ですか。
魂(たましい)と魄(はく)つまりお骨ですね。魂と肉体(と骨)が一つになっているとき、生きている状態。それが完全に分離したら、死んだ状態。死んで分離してしまった魂は仏壇に祀って、魄(ご遺骨)はお墓へ祀る。

魂魄のうち、ご遺骨である魄(はく)が土に還って、なくなった(祖霊となった)ので、仏教的にも50回忌を目途に「上げ法事」あるいは「しまい法事」をして、供養を終える、となるわけですね。

ところが、今、火葬となり、ご遺骨は半分以下、おそらく3分の一以下になって帰って来ます。関西ではそのうちのさらに3分の一くらいしか納骨しませんから、非常に小さくなって帰って来ますが、私の住む地域近辺では、骨壺ごと納骨もかなりありますが、骨壺から出しての納骨であっても、

「土の上に納骨(散骨?)します」

土の上と土の中。
この違いは大きいんです。土の中に遺骨がある場合、その墓地の土質にもよりますが、50年くらいすればほとんどなくなります。(土に還ります)

が、
土の上に納骨した状態なら、お墓の中にある前提ではありますが、50年で土に還ることは、おそらくほとんどないのではないか、と思いますよ。

私の経験の範囲内の話なので、私の経験が間違っている可能性もありますが。

さらに、様々な裏事情もあったりしますが、今のお骨は土に還らないことが前提になっています。どうしても、土に還したいということにこだわるなら、お墓の形状自体を考え直さないといけないかもしれません。

「じゃあ、大地に帰りたいという親父の遺言を尊重するにはどうすればいいんだよ!!」

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「お骨がお骨のまま残るなら、大地に帰れないってことだよね。」

まあ、そうなりますかね。少なくとも、ご遺骨はなかなか普通のお墓では、土に還りにくいですね。

納骨したご遺骨の上から土を被せる、などの方法を取れば、違うのかもしれませんが、それにしてもそういうこともなかなか難しいですね。

さて、ではどうしたらいいのか?

 

穴を掘って、土中に埋めるという行為が必要なのです。

 

普通のお墓では、穴を掘るという行為が難しいんです。お墓の内部は、完成された狭い納骨スペースです。そこを掘るのは、非常に困難を極めます。

実は、そう言うことができる埋葬システムがあるんです。

一種のお墓です。かなり普通のお墓とは違いますが、あります。

ズバリ、それは、「墓相のお墓」です。

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こういうお墓です。
昔、私がまだ未熟な頃(この業界に対してですよ。。。)

「なんだ、このお墓。変なの。。。(^_^;)」
とか思ってたんですが、
実は、非常に計算しつくされた、理にかなったお墓なんです。

今、普通に見かける代々墓のようなお墓は、建てる石屋さん、依頼する施主様の都合の良い形になってきています。でも、この墓相のお墓は、

〇 「お墓とは、ご遺骨を収蔵し、土に還し、また新しいと遺骨を受け入れて、
同じように、収蔵し、土に還す」というお墓本来の機能

〇 ご遺骨一柱、あるいはご夫婦のご遺骨それぞれに印としてのお墓を建て、
その聖地には、立ち入らずに、外からお参りできる構造

〇 一目で、誰が入っているのか、誰と誰が夫婦で、誰が誰の子供で、といった
この家族の構成が一目でわかる構造

〇 お墓の外と内をしっかりと切り分けて、聖と俗を分離した構図

など、様々な仕組みが整って、完成された納骨システムとなっています。
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このように赤枠の部分に家族のご遺骨を収めて(実際に遺骨を埋葬する部分)
右のお墓が建っている部分で、その亡くなった家族を祀っている(聖なる場所)
その両方は、石で区分けする(青の矢印)ことで、
「俗」なる外と隔てている。

で、なおかつ、

赤枠の部分は、穴を掘って、その中に埋蔵(土中に埋める)することで
ご遺骨を土に還す(大地に返す)構造になっているので、

お墓本来の意味の一番大切な部分の一つ
「ご遺骨を大地に還す」ということが可能なお墓、となっているんですね。

あ、でも墓相のお墓を建てようというお勧めではありません。
こういう構造のお墓もありますよ、という紹介です。

例えば、時代劇に出てくるお墓。

おっとっあん。
「私は頑張って生きていくよ。
草葉の陰から見守っていてね。」
と、お墓の前で小袖でそっと涙をふく娘。

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(町娘ではないですが。。。)

昔のお墓は、土葬です。
ご近所総がかりで棺桶が入る穴を掘って、そこに埋葬。
すぐにではないですが、その上に石で作ったお墓を建てる。

お墓とは、その大切な人が眠っている(埋葬されている)場所を示す印。
であるとともに、

 

「ご遺体(ご遺骨)を大地に還してくれる装置」でもあるわけです。

今の斎場の機能の一部をお墓が担っていたんです。

ところが、「火葬」が流行、推奨され、日本人のほとんどが
火葬される時代。お墓に納めるものは「焼骨」しかなくなりました。

しかも、一族(家族)の墓と機能がかわってきたので、
いちいち穴を掘って遺骨を埋葬するのが大変になってきているわけです。
そこで、今のスタイル、お墓の中に骨壺ごと安置する。
というお墓のスタイルが主流となってきました。

今のお墓はお墓ではなく、個人型納骨堂(屋外タイプ)でしかありません。

 

 

最近流行しだしている新しい形の供養施設。

大まかに分けて「納骨堂」と「自然葬」に分かれると思います。

「納骨堂」とは、
機械式納骨堂などと呼ばれる屋内型の遺骨安置システム。
大きめの御寺院の中にある豪華なロッカーがならんでいるような、
ロッカー式納骨堂など。
御寺院などが境内などに建てられている「永代供養墓」も基本、納骨堂だと思います。

それに対して、

「自然葬」とは、
海洋散骨、樹木葬、桜葬、散骨など、自然に遺骨を還すという葬送です。

どちらも需要があるので、盛んになってきた葬送だと思いますが、
特に、自然葬。

自然葬がこれほど増えてきた、盛んになってきた理由の一端は、私は
「今のお墓では、遺骨を大地(自然)に還せない。
なにか大地に還せる方法がないか」
という疑問から生まれているように感じてます。

少なくとも、日本人の葬送感の潜在意識の中には、
そういうものがあるのではないか?

お墓が「遺骨を大地に還る」システムではなくなっている。
お墓では大地に還してくれない。
だから自然葬がクローズアップされている。
ならば、
お墓を大地に還すシステムに戻せばいいのでは?

そんなに難しいことではないと思います。

 

 

 

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大北 和彦(おおきた かずひこ)
1966年生まれ。昭和元年頃から続く「大北石材店」3代目。さほどの強い動機もなく始めた石材業だったが、仕事を通じて石にかかわる楽しさ、墓の素晴らしさに目覚め、お墓のプロの証「お墓ディレクター2級試験」第1回試験に合格、その翌年初めての「お墓ディレクター1級試験」にも一発合格し、但馬で唯一の「お墓ディレクター1級を取得する石材店」となる。
本人は兵庫県でも指折りの「お墓好き」を自任するが、その大好きな墓石について、困っている、悩んでいる人が多いことに気づき、墓石についての疑問・質問に答えるため「お墓Q&A」をブログにて執筆中。
1000記事を目指している。