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    地震に強いお墓|震災現場から学んだ5つの真実

    あなたの家のお墓は「本当に」大丈夫ですか?

    2022年3月、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生しました。私は発生直後、甚大な被害を受けた相馬市や新地町の墓地へ現地調査に赴きました。そこで目にしたのは、現代のお墓づくりにおける「不都合な真実」でした。

    東日本大震災の教訓から、福島のお墓は全国でも類を見ないほど強固な対策がなされているはずでした。しかし、**「最新の地震対策を施したはずの新しいお墓が倒れ、一方で何もしていない古いお墓が奇跡的に残っている」**という逆説的な光景が広がっていたのです。

    私は兵庫県北部(但馬地域)で唯一の「お墓ディレクター1級」および「墓地管理士」として、日々お墓の建立に携わっています。但馬では北但大震災から約100年もの間、大きな地震が起きていません。この「100年の空白」が、多くの人に「うちは大丈夫だろう」という根拠のない楽観視を生んでいます。しかし、震災現場の調査で分かったのは、その油断こそが最も危険であるという事実です。

    なぜ、対策をしたはずのお墓が守れなかったのか。専門家の視点から、5つの衝撃的な真実を紐解いていきます。

    真実1:接着剤は「塗ればいい」というものではない

    お墓の倒壊原因の多くは、接着剤(ボンド)の施工不良にあります。ここで重要なのは、単に使用しているか否かではなく、「何を選び、どう施工したか」です。

    まず、接着剤には「弾性系(ゴム状)」と「エポキシ系(セラミック系)」があります。エポキシ系は非常に強力ですが、硬化するとカチカチに固まるため、地震の巨大なエネルギーを受けると逃げ場を失ってパキッと割れてしまいます。一方、柔軟性のある「弾性接着剤」は、揺れの衝撃を吸収し、石と石を粘り強く繋ぎ止めてくれます。

    墓石専用のプチルゴム系の接着剤も極めて有用です。時間とともに硬化する普通の接着剤とは性質が異なり、いつまでも粘りがあり、瞬間的な強い力が加わった際には、お墓の石をキープしてくれる性質が、地震の急激な揺れからお墓を守ってくれるのです。

    どちらがいい、悪いという話ではなく、複数の性質の接着剤を併用する、ということが大事です。

    また、石と石の間に「2~3mmの目地(隙間)」を確保することも極めて重要です。

    接着剤は塊でないと性能が発揮できないのです。小さな塊では本当に意味がない。接着剤の耐久性を伸ばすため、必ずシール作業を行う必要があります。

    接着剤は「線」で伸ばすのではなく、大きな「塊(玉状)」として装填し、上の石と接する面積を最大化しなければなりません。さらに、接着剤が空気や水分に触れ続けると、化学変化を起こして本来の弾力性を失い、カチカチに劣化してしまいます。それを防ぐため、周囲をコーキング剤で密閉する「シール作業」こそが、接着剤の命を繋ぐのです。

    真実2:「耐震ボルト」が逆にお墓を壊す引き金になる?

    石材を貫通させる「耐震ボルト」や「免震棒」も、間違った使い方をすれば倒壊を助長する凶器となります。

    調査現場で目立ったのは、ボルトが短すぎて地震の揺れで抜けてしまい、戻る際にボルトが石に干渉してお墓を弾き飛ばしてしまった事例です。また、ステンレス製ではない「鉄製の棒」を使っている場合、内部で錆びが発生して膨張し、石を内側から破壊する「爆裂」を引き起こします。

    さらに、プロのこだわりとして重要なのがボルトの形状です。ツルツルの丸棒では接着剤との接着力が足りず、簡単に抜けてしまいます。必ずネジ山のある「ボルト」を使用し、接着剤をしっかりと絡ませなければ意味がありません。そして、ボルトは「下の石」ではなく「上の石」側に固定して施工すること。これにより、下の石の穴へ確実に装着され、強固な結合が生まれるのです。

    真実3:伝統的な「四つ石」構造に潜む構造的な弱点

    関西や但馬地域で古くから採用されている「四つ石」の芝台(一番下の土台)。4つの石を組み合わせるこの構造は、現代の耐震基準から見ると非常に脆弱です。

    石をただ並べているだけの構造は、地震の振動によって簡単に四散してしまいます。最大の欠点は「乗りしろ(上の石を支える面積)」の少なさです。構造上、上の石を支える部分がわずか3〜4cm程度しかないケースが多く、揺れに対して物理的な安定性を欠いています。

    伝統的な職人技は尊重すべきものですが、自然災害が激甚化する現代において、単なる組み合わせだけの構造は限界を迎えています。土台から一体化させる、あるいは強固な補強を加える現代的な基準へのアップデートが急務です。

    真実4:地盤は「コンクリートという名のサーフボード」である

    お墓そのものの強度よりも決定的なのが「地盤」です。和型のお墓は2トン近い重量があり、しかも構造的に後ろに重さが偏る「偏荷重」の状態にあります。

    軟弱な地盤の上にお墓を建てるのは、「コンクリートという名のサーフボード」を不安定な海に浮かべ、その上に重い石を積み上げているようなものです。重心が後ろに偏っているため、不安定な地盤の上では簡単にひっくり返ってしまいます。

    この問題を根本から解決するのが、砕石を用いた地盤改良「トップベース工法」です。この工法を導入することで、**地震の揺れ指数を1下げる(震度6を震度5程度に抑える)**という具体的な性能向上が期待できます。地盤への投資は一見地味ですが、震災後に高額な修繕費を払うリスクを考えれば、最も費用対効果の高い「お墓の保険」と言えるでしょう。

    真実5:見栄えよりも「日本品質(Made in Japan)」の施工を

    現在、流通している墓石の約8割は中国製です。しかし、大切なのは石の産地よりも、現場での「施工の質」です。

    本来、石を積む前には、石の表面を荒らして接着力を高める加工やボルトの微調整など、緻密な「下準備」が必要です。しかし、梱包を解かずに現場へ持ち込み、手間のかかる工程を省いてそのまま建ててしまう手抜き施工が後を絶ちません。20以上の工程を一つひとつ、心を込めて丁寧に行う。その「日本品質」の積み重ねこそが、揺れが来た瞬間の生死を分けるのです。

    「地震が来たら、その違いは一目瞭然です。施工に関しては、日本品質の施工で建てませんか?すべての工程で手を抜かず、手間暇を惜しまず、心を込めて施工すること。それが私たちが提供する価値です。」

    結論:次なる大地震に備えて、今できること

    福島での調査中、ある一人の女性がブルーシートを持って墓地に現れました。地震でずれてしまい、中のご遺骨が丸見えになってしまったお墓を、誰に頼ることもできず、せめて雨に濡れないようにと一人で覆おうとしていました。

    「お骨が雨に濡れるのが嫌で……」

    その切実な願いを前に、プロとして道具も機械もない自分にできることは、ブルーシートを紐で結ぶ手伝いだけでした。その時の悔しさと、女性の悲しみに満ちた顔が忘れられません。私は、あのような悲しみを味わう人を但馬から、そして日本から一人でもゼロにしたいと心から思っています。

    地震は必ず来ます。しかし、予防的に対策する費用は、倒壊後に直す費用に比べればわずかなものです。

    あなたの大切なご先祖様のお墓を、次に揺れが来た時も守り抜く自信はありますか?後悔する前に、まずは専門家による現状のチェックから始めてみてください。

    地震に強いお墓Q&A

    1. お墓の地震対策における接着剤の使用ポイント

    お墓の地震対策で接着剤を使用する際、どのような点に注意すればよいですか?

    単に接着剤を塗るのではなく、性質の異なる複数の接着剤を併用することが重要です。例えば、揺れの衝撃を吸収する「弾性系接着剤」や、粘り強く石を繋ぎ止める「プチルゴム系接着剤」などを適切に組み合わせます。また、接着剤を「線」ではなく大きな「塊(玉状)」で装填し、周囲をコーキング剤で密閉する「シール作業」を行うことで、接着剤の劣化を防ぎ、その性能を長期間維持することができます。

    2. 耐震ボルトの正しい施工方法

    耐震ボルトを使用すれば、地震による倒壊は必ず防げますか?

    いいえ、間違った使い方をすると逆にお墓を壊す原因になります。ボルトが短すぎると揺れで抜けた際に石に干渉し、お墓を弾き飛ばす恐れがあるほか、鉄製の棒は錆による膨張で石を内側から破壊してしまいます。対策としては、ステンレス製のネジ山があるボルトを使用し、接着剤をしっかり絡ませること、そしてボルトを「上の石」側に固定して施工することで、下の石の穴と強固に結合させることが不可欠です。

    3. 伝統的な「四つ石」構造の土台のリスク

    関西などで一般的な「四つ石」構造の土台には、どのようなリスクがありますか?

    4つの石を組み合わせる「四つ石」構造は、現代の耐震基準から見ると非常に脆弱です。地震の振動で石が四散しやすく、さらに上の石を支える「乗りしろ」が3〜4cm程度しかないケースが多いため、物理的な安定性を欠いています。自然災害が激甚化する現代においては、土台を一体化させる、あるいは強固な補強を加えるといった現代的な基準へのアップデートが必要です。

    4. 地盤改良の重要性と効果

    お墓そのものの対策以外に、なぜ「地盤」への対策が必要なのですか?

    和型のお墓は約2トンもの重量があり、重心が後ろに偏っているため、軟弱な地盤の上では非常に不安定だからです。これを放置するのは「コンクリートという名のサーフボード」の上に重い石を積んでいるような状態で、震災時には簡単に転倒してしまいます。砕石を用いた「トップベース工法」などで地盤改良を行うことで、地震の揺れ指数を1下げる(例:震度6を震度5程度に抑える)といった具体的な性能向上が期待できます。

    5. 「施工の質」と地震耐性の関係

    地震に強いお墓を建てるために、重視すべきことは何ですか?

    最も重要なのは、現場での「日本品質」の施工です。石を積む前に表面を荒らして接着力を高める加工や、ボルトの微調整など、20以上の緻密な工程を一つひとつ丁寧に行うことが、揺れが来た瞬間の明暗を分けます。梱包を解いてそのまま建てるような手抜き施工を避け、手間暇を惜しまずに心を込めて施工することが、お墓の地震耐性を高める鍵となります

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