「地震に強いお墓」というキーワードでGoogle検索してみました。

おおきた石材店 代表 大北和彦
〇 お墓ディレクター1級
〇 墓地管理士
〇 石材施工技能士1級
〇 技能顕功賞
〇 一般社団法人日本石材産業協会正会員
おおきた石材店
昭和の初めより三代続く、兵庫県豊岡市の小さな石材店。震度7の地震でも倒れなかった「地震に強いお墓」と特許技術「雨漏りしないお墓、信頼棺」の正規代理店。百年後に残るお墓を作っています。

私のホームページは、まだ始めたばかりなので、ずいぶん下の方なのは、認識しましたが、上位にあげられたサイトの記事内容には疑問が出てきました。
似た内容のサイトが。。。
「地震に強いお墓」の条件
・ほぞ(耐震棒)のあるお墓
・免震パットのあるお墓
・一つ石によるお墓
あなたはどのタイプを選びますか?
という内容の記事がいくつか上がってきました。特に、お墓工事の依頼者を集めるポータルサイトのようなところのページはかなりそういった内容が多かった気がします。
案外、検索上位はそういった「どこかのサイトの記事をコピペしてリライトして書いた」ような記事ばかりなのかな、と感じました。まあそういったことはあるのかもしれないのですが、あまりにも中身、書き方、流れが似ていたので、初めて読んだ方はそういったことなのかな、と感じてしまうのかな、と感じました。
Aさん大体同じようなことなのね。。。
これは大きな間違いの元です。
「地震に強いお墓」の主役は。。。
項目の中に、ほぞ(耐震棒)のあるお墓、という項目がありますが、
ほぞ(耐震棒)とあるのは、こういうものです。


このように、上のモノと下のモノがズレないように、はめ込み式の構造にして、ピッタリと思い通りの位置に固定する建築から来た考えです。昔の木造建築はほぞがあるのが当たり前だったので。
ただ、石は欠けることがあり、上の石の出っ張りが破損してしまったら、簡単にずれるので、石ではなく、鉄製にしたのが、耐震棒です。それをお墓は屋外に設置するので、錆びないようにステンレス製にするのが、普通になってきています。


耐震棒(ボルト)を下の石に挿入する際の画像です。


10ミリのステンレスの耐震棒を下の穴に挿入しようとしています。四隅の黒いものはゴムパット。ゴムではなく、鉛玉でもいいのですが、ゴム板の方が慣れているので、ゴム板を敷いています。
下の穴には、しっかりと接着剤を挿入しています。そして、この耐震、免震の肝、一番大事なのは、「接着剤」です。
それは、誰が見ても明白。素人の方でもそれは分かるはず。接着剤が一番大事なのです。この耐震構造の一番大事なことは、接着剤の使用方法です。
接着剤の性能を最大化
地震に対する性能は、いかに接着剤を使うか、いかに接着剤の性能を最大限引き出せるか、にかかっているともいえます。なので、以下の3点がすごく大事です。
1,石と石のすき間
接着剤のメーカーによると、石と石のすき間が2ミリから3ミリ以上ないと、接着剤の性能を最大限発揮できないとのことでした。これは多くの接着剤メーカーが同様だったと記憶しております。
すき間が広ければ広いほどいい、というのも問題で、逆に5ミリなどという広い目地を東北及び東日本では見かけることがありますが、そうなると、使用接着剤が膨大な量となります。メーカー推奨の最低の2ミリか3ミリというのが一番ベストだと考えます。
2,接着剤の量
逆に接着剤の量が圧倒的に少ない、と言うが原状の一番の問題点だと思います。先ほどの写真。


写っている石が台石。上に耐震棒が見えているのが、その上の竿石です。見た感じ、接着剤、普通に見えますが、実はかなり少ないです。これよりも現在はもっと多く使用しています。
そして、接着剤の玉、固まりが小さい。もっと大きな固まりを作るべきだと思います。
このように固まりの接着剤が石が迫ることで、3ミリ厚まで潰れます。そして、平らな3ミリの円状の板のような状態になります。この板状の接着剤の面積が大きければ大きいほど、接着剤の性能が高いはずです。
接着剤の固まる原理は、
接着剤の名前の通り、「弾性接着剤」なので、弾力がある状態でないといけないのです。硬くなってしまうと、接着剤の性能が落ち、完全に硬くなったら、接着剤ではなくなります。では、どうやって固くなるかというと、空気に触れると、その触れた部分からだんだん硬くなる。
となると、完全に中心まで硬化してしまうのを遅らせるには、その玉が大きければ大きいほど時間が稼げるということですよね。また、その玉が大きければ大きいほど、設置面も大きいので、対地震性能も高くなることが想定できます。
理想の接着剤の量は、
石と石の接地面の全てを接着剤で満たす、という状態が最も理想だと思われます。
ですが、それでは、本当に大量の接着剤が必要になります。 竿石一本設置するのに、接着剤のシリンダー、2本使う、なんてことになったら、接着剤代で値上げしないといけないことになります。それは極めて現実的ではないので、接地面積の半分くらいが接着剤で満たされるくらいを目安に、使用しようと考えています。
3,接着剤の養生
接着剤をどんなに大量に使おうと、石と接着剤が十分くっついていないと全く意味がなくなります。
石の養生も実はかなり大事な部分です。
- 石の表面が濡れていないか?
- 完全に乾燥しているか?
- 表面に埃(ほこり)、不純物などがついていないか?
- リフォームの場合、古い接着剤が残っていないか?
などが、極めて重要となります。
まとめ
さて、地震に強いお墓のどこにも書いていないけど、大事なポイントを3点あげてみました。
でも、実は、この3点だけやっていたらいい、ということではありません。
地震というのは、自然災害です。どんな揺れがどんな強さで、どれほどの長さ来るか、全く想定できません。また、一度で終わるのではなく、2度、3度と来る場合もあります。その期間が1年、2年、それ以上かもしれません。
つまり、「ここまでやったら大丈夫」ということはないのです。想定できること、考えられること、やった方がいいと思えること、ありとあらゆることをした方がいいはずです。
それでも、想定できるあらゆることをやっても、大きな地震が来てみて、お墓が倒れてしまったら、それは、「間違った地震対策」でしかないのです。
結果がすべて、なのです。


















