石とセメントは相性が悪い
最近、ほとんどテレビを見ない生活をしているんですが、日曜日の夜の「鎌倉殿の13人」だけは楽しみで仕方ない大北です。残り僅かになってしまって、残念です。
◇兵庫県豊岡市のお墓のアドバイザー大北和彦です
兵庫県豊岡市のお墓と墓石のアドバイザー、おおきた石材店です。
☑ 兵庫県北部で唯一の「お墓ディレクター1級」
☑ 雨漏りしないお墓「信頼棺®」正規代理店
☑ (一社)日本石材産業協会常任理事
おおきた石材店はお墓のことを全く知らない人にも、お墓を建てる時に大事なことをわかりやすくお伝えすることを第一に考えて情報発信しています。
お墓の石を建てる時、コンクリートの基礎の上に建てるのは、今や常識になっていますが、コンクリートってセメント製品ですよね。セメントを利用して、骨材と言われる砂と砕石を適度に混ぜながら、非常に強固に固めて作るものです。
固めれば、とても固くなり、長時間外気に触れてもそれなりに強いんで、よく利用されているんですが、実は問題があります。
セメント製品単体では接着力が全くない、ということ。
更には
コンクリート施工後、その表面にはレイタンスという不純物が膜をつくる、ということ。
この二つ、意外と知られていませんが、とても大事なことです。
これをクリアしておかないとコンクリートの上に石を建てても簡単に外れてしまうのです。特にコンクリートと相性が悪い石は何かしらの対策を実施しないと、ほんとに簡単に外れてしまいます。それこそ、簡単に。
レイタンス除去は以前紹介しました。
この一手間をかけるか、かけないかで後が変わってきます。
更に、接着効果のないコンクリートに接着効果のないモルタル(セメントと砂に水を加えて混ぜたもの)でお墓の石を施工しても、元々接着効果がないのに、くっつくはずがないのです。
(※ 一時的にくっついたようになりますが、簡単に分離するのは経験から明らかです)
そこで、どうするか。。。
接着効果のあるもので、お墓の石を建てます。
モルタルにモルタル専用混和剤を加えた接着力あるモルタル、「樹脂モルタル」で施工。
今のところ、この一択だと思います。
モルタルの性能を高めるもの~樹脂モルタル
こちらは以前使っていた昭和電工のハイモルエマルジョン。結構長く使っていました。
希薄して、モルタル作成時、水の代わりに使います。
こちらが現在使っている日本化成のハイフレックス。師匠の石材店さんに紹介いただいた商品です。
防水効果も高く、お墓の石が「濡れ色」に変色しずらい印象があります。
(※ あくまで私の印象です。効果がいつまで保持するのかも不明です)
次に使おうと思っているマノールのアクリット(カチオン系)というやつです。
この中で一番高価なのですが、一番接着効果が高いと思われます。
いずれの商品もモルタルに混ぜて使うと、普通のモルタルに接着効果を加えてくれるので、お墓を建てる際にはぜひ使いたい、というか、使わないと地震対策としてはダメな施工だとなります。
石とセメント製品の間には、、、
石と石の施工には、専用接着剤があります。コーキング系やエポキシ系もありますし、接着効果も高いです。ですが、その接着剤は石とセメント(コンクリート)の接着には使えないのです。
石とセメント(コンクリート)との接着には、なかなかこれが最高という製品がなく、通常のモルタルに接着効果の高い混和剤を混ぜた「樹脂モルタル」で建てる、が今のところ最善ではないか、と思います。
石と基礎であるコンクリートの間の「接着」は、お墓の地震対策としては一番大事な部分でもあります。
福島での視察事例
上の黒い石がずれて落ちそうになっていますが、よく見ると、下の白い石も動いてお墓の中が見えてます。下のコンクリートとの接着が十分ではなかったようです。
こちらもずれてしまっています。こういう外れ方はモルタルが普通のモルタルで接着してなかった可能性が高いですね。
戒名碑が倒壊しています。台石がしっかりと基礎と固定されていたなら、倒れることはなかったはず。足は接着してあったのか、外れていないです。
こちらのお墓も同様です。基礎コンクリートと台の石がずれて、回転してしまっています。ここがしっかり固定されていれば、このお墓は被害なし、だったはず。
一見、被害は少ないように見えますが、これを補修しようとすれば、一度すべてのお墓の石を仮撤去しないと補修できません。でないと、同じような地震が来れば今度はもっと被害が増えるでしょう。
まとめ~「樹脂モルタル」は実は工事が面倒です
以上、石とコンクリートの接着に使うモルタルに接着力他を加える「樹脂モルタル」をお伝えしました。とても効果の高い製品ですが、使っている石材店は果たしてどれほどあるのか。。。
工事後の掃除が面倒。接着効果が高いので、固まると掃除しにくい。セメント製品より硬化が早いので、余計に大変。
更に、使用方法を間違えると、効果が激減、やらないのと変わりないという結果にもなりかねません。マニュアルはしっかりと守らないとわざわざする意味がないとなります。
でも、面倒だから、仕事なんだ、面倒でなければ、だれでも自分でやるだろ、と言われたことがあります。
この面倒を避けるのではなく、敢えて面倒な方法を選んでやっていく、というのがおおきた石材店のスタイルであり、信条です。