五輪塔を考える(その3)~地震に対して
地震のことを考えると、五輪塔は少し不安になります。
まず、
背が高い。
これは、デザイン的には、ある程度どうしようもないことなのですね。
ですが、それを何とかしようとして、考えたのが、
墓相のお墓の五輪塔です。
(実際にそういう意図でデザインされたかどうかは不明ですが、、、)
このように、背をできるだけ切り詰めて、低く設計してあります。
そういう意図があったかどうかは不明ですが、
(おそらくあったはずですが。。。)
相対的に、地震には強くなったはずです。
そして、
接地面積が狭い。
お墓の石って、上に行くほど細くなっているのが原則です。
そして、下の石との設置面積と
その石の最大寸法が同じ、あるいは、大きいというのが基本です。
上の写真。青の線が設置面積。
赤の線が石の最大寸法。
青と赤が同じなのが、基本なのです。
ところが、五輪塔はこの原則に反しています。
青よりも赤の方が大きいんです。
これが不安定を強くしているわけです。
しかも、火輪(笠)石が大きくなっているので、
余計に不安定になっております。
これは耐震パットを使っても、大丈夫なのだろうかという不安感もあります。
なので、
デザイン、地盤、墓地の状態などを考慮してなんですが、
水輪の石とその上下の部分にステンレスの芯棒を入れさせてもらうこともあります。
(必ず入れるとは限りません。入れない場合もあります)
こんな感じでステンレスの芯棒を入れます。
(ちなみに、こちらの写真は古代型を基本に上の空輪、風輪の部分を
意匠的にデザインされてます。)
五輪塔で一番弱い部分は、この水輪の上と下です。
これを補強する意味で、芯棒を入れます。
が、この施工方法の良しあしで、全く効果がなくなったり、
しっかりと地震の力を分散してくれたりするので、注意が必要です。