庵治石が高価な理由②~日本人らしい石
庵治石って、良くも悪くも日本人を象徴しているな、と最近つくづく思います。
兵庫県豊岡市のお墓と墓石のアドバイザー、大北和彦です。
どういうことかというと、
とことん、限界までこだわり、細かいところまで納得できない部分を排除し、
理想を求める。
まさしく、良くも悪くも日本人気質ですね。
そういうところ、嫌いじゃないです。
というわけで、「庵治石が高価な理由」の続きです。
とある倉庫に案内されてきたんですが、まあまあ広い倉庫にこのように庵治石が山積みです。
動画も撮ってみました。少し騒音がうるさいのですが、ボリュームを絞ってみてください。
こちらは、とある庵治石の採石をされている会社さんの倉庫です。
その庵治石を採掘されている会社の倉庫にどうしてこのように、庵治石がうず高く積まれているのか???
いっぱい、あるじゃん。。。
「こんなにたくさんの庵治石があるなら、庵治石が少ししか取れないなんて、大嘘じゃん」
と思われた方、まだまだ甘いですね。大甘ちゃんですね。
何と!! これは、返品された石です。
一旦、出荷して、つまり商品として出してしまった石ですが、何らかの問題があったので、返品されてきた石なのです。
よく見てもらったらわかる方はわかると思うのですが、すでにお墓の部材として、磨き加工まで済んでしまっている石もあるのです。
とある、庵治石の事情をよく知る人の話では、
「一度、加工工場に入って、加工工程(切ったり、磨いたり)の途中で、キズが出て来たり、独特の模様が出て来たりして、取り換え(という名の返品)が出るのは庵治石に関しては、普通にあります。
一つの庵治石のお墓の部材のうち、4,5回取り換えは普通で、一つの石で10回以上取り替えたこともあります。
ほぼ磨けたな、と思ったのに、最後の最後にキズが出てきた時は泣くに泣けないですよ!!!」
とのこと。
(庵治石の加工に詳しい〇氏)
その交換されて、返品された石がこの倉庫に山積みされているのです。
中には、どうして返品されたのかよくわからない、全然いける石も多く含まれているようです。
これが庵治石を世界一高価な墓石材と押し上げる一つの原因となっているようです。
(言い換えれば、ここまでしてもお墓の石として使いたいほどの魅力のある石、とも言えますね)
まとめ
庵治石はほんとにキズが多くて、通常ではお墓に使えるような石ではないのではないかと個人的には思ったりします。
キズが多くて、ほとんどの石がお墓として利用できない。
運よく、お墓の石として選ばれても、加工の途中で、不具合が出てきたら、また交換される。
その交換された石は、わずかな選外品として、分別されていく。
この写真の様に、ほぼすべての採掘された石がお墓の石として利用できる中国で安価に採掘される石とは、決定的に違います。
まるで、豆腐でもカットするように、ほぼすべての石が使えるのです。
到底、同じ値段になるはずがありませんよね。
それでも、その美しさに魅了されて、高くてもいい、庵治石でお墓を建てたいという人の要望に応えるために、
今日も庵治石は採掘されています。
その希少さゆえ、
その美しさゆえ、
そのブランドを守っていこうとする庵治の石職人の想いゆえ、
今日も全国で庵治石のお墓が建っているはずです。
この手間の掛け方、こだわりの凄さ、日本人でしか成立しない石ですよね。
まさしく「日本人気質の石」と言えると思いますよ。私は。