「知り合いの石材店に頼みたかったのに、墓地で”指定の石材店じゃないとダメ”と言われた」——こういう話、実は珍しくありません。
お墓づくりは大きな決断です。制度やルールを知らないまま進めると、あとから「そんなの聞いてない…」になりがち。今日は”指定石材店制度”について、損をしないための整理として説明します。

◇ お墓ディレクター1級:お墓のプロの証、1級取得者は全国で2桁
◇ 墓地管理士:お墓、納骨堂、永代供養墓の法律の専門家
◇(一社)日本石材産業協会正会員、兵庫県支部理事
◇ 石材加工技能士1級:石の加工の技能を表する国家資格
◇ 雨漏りしないお墓「信頼棺®」正規代理店
◇ 「地震に強いお墓」施工店
おおきた石材店
昭和の初めより三代続く、兵庫県豊岡市の小さな石材店。震度7の地震でも倒れなかった「地震に強いお墓」と特許技術「雨漏りしないお墓、信頼棺」の正規代理店。百年後に残るお墓を作っています。

指定石材店制度とは?
結論から言うと、その墓地(霊園)が「工事をしていい石材店」をあらかじめ決めている仕組みです。
この制度が設けられる理由は、大きく分けて3つのパターンがあります。
パターン①:工事管理上の必要性
墓地の管理者には、次のような事情があります。
- 墓地のルール(寸法・工事時間・搬入経路)を守らせたい
- 工事トラブル時の責任の所在を明確にしたい
- 墓地の景観や統一感を保ちたい
- 墓地設備(通路、排水、境界など)を傷めたくない
この場合、ルールを理解している業者に限定することで、墓地の品質と安全を守ることが目的です。
パターン②:開発投資の回収
民間霊園の中には、墓地の開設に多額の投資をした石材店が、その投資を回収するために指定制度を設けているケースがあります。
墓地開発には、土地取得、造成工事、管理施設の建設など、億単位の投資が必要です。投資した石材店としては、「墓地を作っただけでは赤字。墓石工事で回収したい」という事情があり、そのために独占的な運営権を確保していることがあります。
パターン③:墓地と石材店の商業的な提携
墓地の運営法人と石材店が提携し、「墓地は販売、石材店は工事」という役割分担で利益を分け合う形です。この場合、複数の石材店が指定されていても、実質的には価格競争が起きにくい構造になっていることがあります。
なぜこれが問題になるのか?
指定制度自体は違法ではありません。しかし、利用者側から見ると、次のような不利益が生じる可能性があります。
- 価格比較ができない(相見積もりが取れない)
- 価格が高止まりしやすい(競争原理が働かない)
- サービスの質を選べない(業者を選べない)
- 見積もりの内訳が不透明になりやすい
特に、開発投資の回収を目的とした指定制度の場合、墓石工事の価格に「投資の回収分」が上乗せされている可能性があることを、利用者は知っておくべきです。
利用者側が確認すべきポイント
指定制度がある墓地では、以下の点を必ず確認しましょう。
ポイント①:指定制度の「種類」を見極める
墓地の管理者に、以下を確認してください。
- 指定石材店は何社あるか?(1社のみ/複数)
- 相見積もりは可能か?
- この制度はいつから、どのような理由で設けられたか?
1社のみの指定で相見積もり不可の場合、投資回収型や独占的な契約の可能性が高いと考えられます。
ポイント②:見積もりの内訳を細かく確認する
指定制度がある墓地では、見積もりに次のような項目が入りやすくなります。
- 墓地規定対応(寸法・仕様の調整)
- 搬入・養生(通路保護など)
- 工事申請/管理者対応(書類や立会い)
- 残土処分や整地
- 追加の安全対策
これらは必要な費用ですが、「一式」という表記ではなく、項目ごとの明細を求めることが重要です。特に、開発投資の回収が含まれている場合、工事費全体が相場より高めになっていることがあります。
ポイント③:他の墓地と比較検討する
すでに墓地を決めてしまった後では選択肢が限られますが、墓地選びの段階であれば、指定制度の有無や内容を比較材料にすることができます。
- 指定制度がない墓地(自由に石材店を選べる)
- 複数の指定店があり相見積もり可能な墓地
- 1社のみ指定で相見積もり不可の墓地
それぞれにメリット・デメリットがありますが、価格の透明性と選択の自由度という観点では、違いが大きいことを知っておきましょう。
トラブルになりやすい3つのポイント
①「その仕様はダメです」と後から言われる
高さ制限、外柵の範囲、墓誌の位置、石種や色味の制限、納骨室の仕様など——契約後に言われると、設計変更→追加費用、になりやすいです。
②「工事費とは別に、申請や立会い費がかかる」と後から出てくる
管理者対応や申請が必要な墓地だと、ここが抜けやすいです。契約前に「申請関係は誰がやるか/費用はどこまで含むか」を明確にしましょう。
③「追加工事が必要」と言われたが、妥当か判断できない
地盤の状況・既存基礎の状態・周囲との兼ね合いで、追加が必要になること自体はあります。ただ、説明不足だと「言い値」に感じてしまいます。写真・図面・墓地規定の3点が揃うと、納得しやすくなります。
損しないためのチェックリスト
指定制度がある墓地でも、段取りを押さえるだけで”損しにくく”なります。
✅ チェック①:まず管理者に「指定制度の内容」を確認
- 指定石材店は”必須”か?
- 相見積もりは可能か?
- 工事申請・立会いは必要か?
- 墓地規定(寸法・仕様)の資料はあるか?
✅ チェック②:見積りは「一式」ではなく”内訳”を出してもらう
石材代、基礎・据え付け、申請・管理者対応、搬入・養生、追加が起きる可能性の条件——これらを明細で確認しましょう。
✅ チェック③:「追加費用が出る条件」を先に言語化する
たとえば、「既存基礎が再利用できない場合」「地盤が軟らかい場合」など、想定される条件を先に書面で押さえると揉めにくいです。
✅ チェック④:工事のルール(搬入経路・時間)を事前に確認
近隣区画への配慮や、通路の養生など、工事の段取りはトラブル予防になります。
✅ チェック⑤:迷ったら「規定」と「見積書」を並べて確認
指定制度下では、規定を守るためのコストが一定入ることがあります。その“必要性”が説明されているかどうかが、納得の分かれ目です。
まとめ:制度の背景を知ることが、納得への第一歩
指定石材店制度には、工事管理上の合理的な理由がある場合もあれば、墓地開発への投資回収や商業的な思惑が背景にある場合もあります。
制度自体は違法ではありませんが、利用者側が知らないまま進めると、選択肢がないまま高額な契約をしてしまうリスクがあります。
損をしないための3つのステップ
ステップ①:墓地選びの段階で、指定制度の有無と内容を確認する
すでに墓地を決めた後では選択肢が限られます。墓地を比較検討する段階で、指定制度について確認しましょう。
ステップ②:管理者に制度の詳細を聞く
指定店は何社か、相見積もりは可能か、制度の設置理由は何か——これらを管理者に直接確認してください。
ステップ③:見積もりの内訳を細かくチェックする
「一式」ではなく、項目ごとの明細を求めましょう。不明な項目があれば、遠慮なく質問してください。
指定制度があるからといって、必ず不利とは限りません。ただし、制度の背景や仕組みを知らないまま進めると、後悔につながりやすいのも事実です。
墓地の下見に行く前に知っておきたいこと
なお、一部の霊園では、墓地を下見した際に最初に対応した業者に優先的な交渉権が発生し、その後は他の業者との相談が難しくなるという運用をしているケースもあると聞きます。
墓地の下見に行く前に、インターネットでの口コミや評判を確認したり、事前に管理者へ「見学時の注意点」を問い合わせたりしておくと、より安心して検討を進められるでしょう。
この記事が、納得のいくお墓づくりの一助になれば幸いです。

















