日曜記事~墓石の再利用ってあり?
8月24日日曜日なので、普段とは少し違って日曜記事を書いています。
「お墓じまい」が進んでいます。
古いお墓は比較的大きなお墓が多くて、墓石も大きなものがあります。それを処分するのは、費用も掛かります。もし、その石を再利用できるとするならば。。。
あなたは利用したいと思いますか?

◇兵庫県豊岡市のお墓のアドバイザー大北和彦です
兵庫県豊岡市のお墓と墓石のアドバイザー、おおきた石材店です。
☑ 兵庫県北部で唯一の「お墓ディレクター1級」
☑ 雨漏りしないお墓「信頼棺®」正規代理店
☑ (一社)日本石材産業協会正会員
☑ お墓の法律のプロ、「墓地管理士」取得
おおきた石材店はお墓のことを全く知らない人にも、お墓を建てる時に大事なことをわかりやすくお伝えすることを第一に考えて情報発信しています。
まずこの取り組みを行う上で、障害となることを上げ、説明したいと思います。
誤解なきように説明しますが、
お墓の石は多くが「花崗岩」を含む「深成岩」がほとんどです。つまり、簡単に言えば「みかげ石」です。それ以外も「安山岩」「玄武岩」などの石がほとんどで、磨いたら光沢が出る石が前提とお伝えしておきます。
文字が彫ってあるのに、同じ苗字の人しか使えないのでは

と思われた人がいたら、それは違います。石の表面を全面カットして、文字の部分は文字が消える程度にカット。残った部分を磨き直す、という手法です。
石の表面をカットするので、劣化した部分がなくなり、石本来の表面が出てきて、磨いたら新製品と同等の美しさが出る場合がほとんどです。ただ、カットするので、サイズは小さくなります。昔のお墓の石は大きかったので、サイズダウンしても、現代のお墓のサイズにはなります、ということです。
お墓の石の再利用なんて、出来るの?

というご意見に対しては、現在でも、墓石ではなく、別のものとして利用している実績があります。
おおきた石材店も加盟している「お墓のみとり」というグループでは「リ墓ーン」というサービスがあります。
「お墓じまい」した際、墓石の一部を利用して、加工し直して、「思い出の石」「記念の石」として残す、というサービスです。表札とか、オブジェ、思い出の写真を彫刻してプレートとして残すなどをされています。この場合、墓石の所有者の意向として、思い出として残されるというのが、本来の趣旨なのですが、
「石としては置く場所がないので残せないが、利用される方がいらっしゃるなら、利用してほしい」
お墓じまいした際、こう言われることが、時々あります。そういった意向のある石なら、新しい墓石として、再利用、再生されることもありなのでは、と思ったりします。
お墓の石だったものは使いたくない

もともとお墓だったものだろ。加工し直したとしても、使いたくない。
そういうご意見はすごく分かります。でも逆に、「そういう石なら使いたい」とおっしゃる人が全くゼロだとは断言できないし、そういうことにはこだわりない、という方はいらっしゃると思います。
大事なのは、「採掘されたばかりの石」なのか、「墓石から再利用、再加工された石」なのかを明記、区別されている、そのルールが厳格に守られているかどうか、という点ではないかと思われます。
そのルールさえ、しっかりと守られているなら、あとは選ぶ方の問題なのではないかな、と考えています。
石を採掘している業者さんの仕事が減るのでは?

その可能性はあるかもしれません。むしろあると思います。磨き直した石と通常の採掘、加工した石が同じ品質なら、値段の安い方が売れるだろうし、数が増えるということは、相場が下がる、というリスクもあります。
そこは一定のルールが必要ではないかと思われます。現在採掘している石、あるいは、採掘が終わている石でも、市場に流通している石は除外する。
もしくは、除外ではないが、採掘した石と再利用された石を厳格に区別、明記した上で、何らかの条件を課す。(中身は検討課題)。
私個人的には、除外の方がいい気がしますが。
世間的にあまりいい感情を持たない人もいるのでは?

例えば、僧籍の方。お寺のご住職、ご高齢の方なども批判的な考えの方は多いのかも、と想像します。
お寺のご住職なども、お墓の石を再利用するなんて、もってのほか、と考えられている方がいらっしゃると思います。その考えも理解はできますが、
時代とともに価値観も変わるということもあります。
この取り組みがもし、多くの人にとって、あまり意味がない、価値がないとなると、誰もしなくなって、やがてなくなるであろうと思います。
逆に、一定数の方が価値がある、メリットがあるとするなら、賛同する人が増えていき、取り組みが盛り上がるはずです。その結果が答えであると考えます。
メリットもあります

メリットとしては、
〇 今は採石終了となった石でお墓を建てることが出来る可能性が出てくる
昔は地元の石でお墓を建てていた時代がありました。現在はそういった石はほぼ採掘していません。地元の石でお墓を作りたいと願う人は少なくないはずですが、そういった要望に応えることが出来る可能性があります。また、かつて人気があった石が現在採掘されていないが、あの石でお墓を建てたいという要望に応えることが出来るかもしれません。
〇 お墓じまいの費用を安くすることが出来る
お墓じまいで発生する費用の一定額は当然、「石材の処分」費用です。処理業者へ渡すのですが、それは有償にて引き取っていただくのが現状です。それをゼロにはできませんが再利用することで、少なくできることは間違いないですね。「お墓じまい」される方にとってもメリットが出てきます。
〇 お墓じまいしたが、石を再生させて誰かのお墓になることで気持ちの整理が出来ないか?
出来ればしたくないが、仕方なくお墓じまいされる方は少なくありません。今まで大切にしてきたお墓です。そのお墓の石を新しく再生して使うという取り組みはお墓じまいされた方にとっても、大切な墓石を細かく粉砕して、砕石として使用するという方法よりも、新たにお墓として、誰かに大切に使われるという方が、心の平安に寄与するのではないのかな、と考えたりしますが。
〇 石を再生させることで、廃棄物の削減に貢献。CO2排出や自然破壊を抑え、サステナビリティをアピールできる
廃棄物の削減には間違いなくなります。特に、墓石の石は非常に硬く、細かく粉砕するのには、多くのCO2排出が必要となります。そのCO2の排出削減に寄与することになります。循環社会に少なくとも寄与することになる取り組みとなるはずです。
まとめ
以上、障害となりそうなこと(デメリット)とメリットを考えられるだけ挙げてみました。
もちろん今までやられていない取り組みなので、障害は決して小さくはないはずですが、やってみる価値はあるのではないのかな、と思ったりします。
こういった条件の上で、あなたは再利用する墓石でお墓を建ててみたいでしょうか?
それとも、
そこまでして、墓石を再利用するのはやめた方がいい、とお考えですか?