前回の記事で「関根石材店式トップベース工法」という言葉をご紹介しました。
「聞いたことがない」「普通の基礎工事と何が違うの?」という方のために、今回はこの工法を詳しく解説します。

◇ お墓ディレクター1級:お墓のプロの証、1級取得者は全国で2桁
◇ 墓地管理士:お墓、納骨堂、永代供養墓の法律の専門家
◇(一社)日本石材産業協会正会員、兵庫県支部理事
◇ 石材加工技能士1級:石の加工の技能を表する国家資格
◇ 雨漏りしないお墓「信頼棺®」正規代理店
◇ 「地震に強いお墓」施工店
おおきた石材店
昭和の初めより三代続く、兵庫県豊岡市の小さな石材店。震度7の地震でも倒れなかった「地震に強いお墓」と特許技術「雨漏りしないお墓、信頼棺」の正規代理店。百年後に残るお墓を作っています。

そもそも、お墓の基礎工事って何をするの?
お墓は重い石の塊です。その下には必ず「基礎」が必要です。基礎がしっかりしていないと、お墓は少しずつ傾き、やがて地震や地盤の変化で倒れてしまいます。
一般的な基礎工事は、地面を掘り下げてコンクリートを流し込む「基礎コンクリート」が中心です。これだけでも、何もしないよりはるかに強くなります。ただし、地盤が軟弱な場所や、繰り返し地震が来る地域では、コンクリートだけでは不十分なことがあります。
実は今でも、豊岡市内でも基礎コンクリートをしっかり施工しない石材店が存在します。石と石を積み重ねるだけ、あるいは表面だけ薄くコンクリートを打つだけ、というケースも珍しくありません。「基礎工事をしている」と言っても、その中身は石材店によって大きく異なるのです。
トップベース工法とは——土木工事の知恵をお墓に
トップベース工法は、もともと道路や橋などの土木工事で使われる「地盤改良工法」の一種です。コマ型(独楽型)の特殊なコンクリートブロックを地中に埋め込み、その形状と間に詰めた砕石の組み合わせで荷重を広範囲に分散させる仕組みです。
このコマ型ブロックの特徴は、「上からの重さを真下に集中させず、斜め外側に向かって広く分散させる」点にあります。地震の揺れのような横方向の力にも、荷重の分散効果が粘り強く働きます。
これを福島県須賀川市の関根石材店(関根哲也代表)が、お墓の基礎工事に応用しました。東日本大震災以降、繰り返し大地震に見舞われた福島県で「倒れないお墓」を実現するために編み出されたのが「関根石材店式トップベース工法」です。
施工の流れ——なぜ手間がかかるのか
この工法の施工は、一般的な基礎工事と比べてかなりの手間がかかります。その理由は2点。「掘る深さ」と「トップベース独楽の施工の難しさ」にあります。

トップベース工法では、最低でも700cmの深さまで掘削する必要があります。700mmというと、大人の腰のあたりまでの深さです。一般的なお墓の基礎工事の倍近い深さになることもあります。
掘り出した土の量も相当なものになり、3トンダンプ2台、3台分以上になることも珍しくありません。狭い寺院墓地では大型機械が入らないため、小型ショベルや人力で対応することもあります。
掘削後の流れはおおよそ以下の通りです。
- 深さ700mm以上まで掘削・残土搬出
- 砕石を投入し、転圧(踏み固め)
- コマ型ブロック(独楽)を設置
- 間に砕石を詰めながらさらに転圧
- 基礎コンクリートを打設
- 墓石の据え付け・固定

なぜ「基礎から強くする」必要があるのか
地震でお墓が倒れる原因は、「墓石同士の接合が弱い」だけではありません。地盤が揺れて基礎ごと動く、あるいは地盤が液状化して基礎が沈下・傾く——こうした「下からの崩壊」も大きな原因のひとつです。
上の墓石をボンドやピンで固定する工法は、横揺れには一定の効果があります。しかし、基礎そのものが動いてしまえば、上部の固定がいくら強くても意味がありません。
トップベース工法は、この「基礎そのものを強くする」ことに特化しています。上部の接着・固定工法と組み合わせることで、はじめて「地震に強いお墓」が完成します。
| 対策の種類 | 効果 | 対応する揺れ |
|---|---|---|
| トップベース工法(基礎) | 地盤からの動きを抑制 | 縦・横・液状化 |
| 耐震ボンド・金具(上部) | 石同士のズレ・転倒を防止 | 主に横揺れ |
| 組み合わせ施工 | 総合的な耐震性 | 複合的に対応 |
正直に伝えるデメリットも
この工法には、一つ大きなデメリットがあります。それは「お墓の移転(引っ越し)がほぼできない」ということです。
石と石をステンレスボルト2本で強固に固定しているため、竿石と台石の分離が実質不可能な状態になります。「お墓じまい」(解体・撤去)は可能ですが、別の墓地に移設して再建するのは、技術的・費用的にほぼ現実的ではありません。
豊岡・但馬の地盤との相性
豊岡市の市街地は、円山川流域の軟弱な沖積地盤の上に広がっています。1925年の北但大震災でも、この軟弱地盤が被害を拡大させた一因とされています。
軟弱地盤は、地震時に「揺れやすく・液状化しやすい」という特性があります。こうした地盤においてこそ、表面だけのコンクリートではなく、深く掘り込んで地盤改良するトップベース工法の効果が発揮されます。
豊岡市の墓地は円山川沿いに多く立地しています。川沿いの地盤は特に軟弱なケースが多く、お墓が少しずつ傾いているのを見かけることも珍しくありません。「地震が来る前から傾いている」というお墓は、地震が来た瞬間に一気に倒れるリスクがあります。
地震に強いお墓づくりについて、詳しくはこちらのページもご覧ください。
次回は、もうひとつの取り組み「信頼棺——雨水が入らないお墓の仕組み」についてご紹介します。
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