Q279~G623(中国産みかげ石)ってどんな石?
G623という名前、石材業界では、かなり有名な名前ですね。
この写真の石です。
中国産の、いわゆる「みかげ石」ですね。
俗にみかげ石と呼ばれますが、正式には花崗岩の事です。
世界一という冠名が付く石としても有名です。
中国の福建省産。
で、実はもう採掘しておりません。
(そのはずです。)
採掘していませんが、今、全国、いや全世界に流通しております。
かつては、
「世界一安価なみかげ石」として、世界にとどろいた石でした。
まだ採掘されていた数年前は、そう呼ばれていました。
実際、非常に安くで扱うことが出来ました。
今の値段の3割から4割くらいは安かったかもしれません。
その後、中国政府から、
突然、
「環境が悪いので、公園を作る」とか、
「ここに高速道路を通らせるから」とかの理由で
突然、採掘禁止、廃山と通達が来たらしいのです。
(聞いた話なので、どこまで本当かは不明ですが。。。)
その後、非合法の盗掘があったり、
一時的な採掘の再開許可があったりして、
その間に、とにかく取れるだけの石を採掘しまくった結果、
「見渡す限り、623の原石の山」というような
大量の在庫をキープしている場所が現れたりして、
(何しろ華僑の国ですから。。。)
この先、5年、いや10年分の在庫がある状態だったそうです。
それから数年。
今はどうなっているのか分かりませんが、
この石がなくなる、という話はしばらく聞いておりません。
というわけで、
未だ、徐々に値上がりしておりますが、
非常にリーズナブルな石として、石材業界では、今だ
知らないものがほとんどいないメジャーな石として君臨しております。
この石は、私の住む但馬地方でも、非常に使われております。
ただ、この石、非常に安価な時代があって、
今も中国産墓石材の中では、安価な方に属しますが、
関西では、墓石材、特にお墓の石にはあまり使われません。
特に、但馬、豊岡方面では、お墓の石として使われている例は
私の知る限り、数えるほどしか記憶にありません。
どこに建ってたかも、覚えてないな。。。
とにかくお墓本体に使う石、という感覚がありません。
では、どこに使うのか?
外柵、板石、拝石、物置台、玉垣、
しいて言えば、灯ろうくらいでしょうか。
これは、完全な偏見ではないかと思いますが、
この石は、お墓本体には使わない石、である。と
むしろ、この石をお墓本体に使ったお墓が建っていた場合、
かなり苦しい。。。(以下省略)
ではないか、というイメージを持ってしまう石材店が
多いような気がします。
(あくまで、気がします、です。。。(^_^;)
では、ホントにそうなのか?
この石、実は、けっこういい石なんですよ。
光沢がいいし、
強度もあるし、
艶が冷めにくいし、
みかげ石としては、悪くない素材です。
でも、イメージでどうしても損している。
そういう感じなんです。
では、ホントにお墓の石としてふさわしくないのか?
その他の石と比較してみますが、
かつて、世界一安いみかげ石と呼ばれていた頃の
唯一のライバル、「G603」という石があります。
イメージとしては、このG623を多少色を薄くした感じ。
でも、価格はさほど変わらない石でした。
でも、この石は、お墓の本体には使えない石だと思います。
(使われいている石屋さんがあれば、ご容赦ください)
まず、水をよく吸う。
それから柔らかい。
光沢が冷めやすい。
などの理由で、お墓の石には使っておりませんでした。
おおきた石材店では、唯一使っていたのは、
板石。それから間地石。
石垣に使う石ですね。
それから、同じく中国産のみかげ石として、
「G614」という石があります。
この石は、623より多少高い石でした。
目も細かい、文字彫刻もしやすい。
などの理由で、この石はお墓本体の石として、
多くの石材店さんが利用されていらっしゃいます。
おおきた石材店でもこの石は、見積には出しませんが、
予算にどうしても収まらないという場合に
数基、使わせてもらった経験があります。
(※ 現在では、おおきた石材店では、お墓本体には使わない石にさせてもらっています)
ただ、この石は、
水をよく吸う、光沢が冷めやすい、石が柔らかい、
そして、石の光沢が冷めて、石目が出やすい、ということがあります。
この石と比べても、623は、そん色なく、墓石材としては、見劣りしない石
と考えます。
ただ、唯一の欠点、お墓本体の石としての最大の欠点があるんです。
ズバリ、文字彫刻です。
この石はホントに文字彫刻が難しいですね。
特に、ブラスト彫刻は熟練の技能が必要です。
普通に彫ったら、素人の彫刻の程度でしか彫れません。
石の粒子が比較的大きいこと、
その粒子の硬さがまちまちであること、
彫っていると、残る粒子があって、それをきれいに取るのに
なかなか難しいこと、などの理由で
他の石と同じように彫ることができません。
圧力を下げる、
メディア(砂)を細かい粒子で彫る
メディア(砂)を違う材質のもので彫ってみる、
などの工夫をしないと、なかなか納得できる
彫刻が困難ですね。
ですが、それらをクリアできると充分、お墓本体の石として、通用すると思います。
比較的、似た感じの石で、しかもおおきた石材店の工場にサンプルがある石という限定で
いくつかの石と組み合わせてみました。
この組み合わせはホントに素晴らしいのではないかと、個人的には感じております。
まずは、北木石。
栄龍石材(有)様から頂いた、「北木石中目(赤)」との比較。
左がG623、右が北木石中目(赤)です。
似た石ですね。
こう隣同士で比較しても、似た石ではないかと思います。
この北木石は、あまり使わせてもらったことないですが、
非常に魅力的な石で、ぜひもっと使ってみたい石の一つです。
ちょっとピンク気味な石目で、そこがまた素敵な雰囲気を持っております。
一度、栄龍石材さんが製作した北木石の五輪塔を見せてもらったことがあるんですが、
とても魅了されました。
とても素晴らしい石です。
このように、G623とは、非常に似た石なので、
外柵623、お墓本体北木石、とかでお墓を作ったら、素敵なお墓になるでしょうね。
というか、誰か作らせてもらえませんでしょうか?
北木石のお墓。
靖国神社の大鳥居と同じ石で、お墓作ってみませんか??
次に、「万成石」
万成石、この写真は少々古いサンプルです。
今ではこれほど色が濃くないです。
なので、今の万成となら、非常に近い感じにならないかなと
思っております。
私の持論なのですが、
「万成石は磨いてはダメ、叩いてこそ味の出る石」だと思っております。
なので、この写真ではなかなかイメージできないかもしれませんが、
外柵623で、お墓本体は万成石の五輪塔の叩き仕上げ、
なんて、なんて、なんて魅力的なんでしょう。。。
(個人的に、万成の叩き仕上げの五輪塔には深い思い入れがありまして。。。)
こんなお墓、ぜひ作ってみませんか?
お手伝いさせてください。。。
次に「G688」という石。
中国産みかげ石同士ですが、
G688という石です。
写真ではちょっと違う石では?と思いますが、
写真よりも似た雰囲気があって、良い組み合わせではないか?と
思っております。
今年は初めてこの組み合わせでお墓を建てさせていただいたんですが、
良いな、と思いました。
そして、このいくつかの組み合わせの中で一番リーズナブルです。
そして、どちらも硬質で、中国産で、水も吸いにくいという
よく似た石だというイメージです。
お勧めできる石が少なくなってきた中国産の石ですが、
この組み合わせは数少ないお勧め石種です。
来年もこの組み合わせのお墓、いくつか建てるでしょうね。。。
最後は、関東の銘石、「やさとみかげ」
個人的には、この石が一番似ているのではないかなと
思っております。関東の石、茨城のやさとみかげ。
一度だけ使ったことがあるんですが、
いい石ですね。
関東の代表的な国産みかげ石と伺っております。
このやさとみかげ、石目も美しい白みかげ石という分類になりますが、
長年、関東のたくさんのお墓の石として利用されていますね。
実績だけは十分すぎるほど。
こういう石をもっと建てさせていただきたいですね。
さて、ここまでG623という中国の有名なみかげ石を取り上げて書いてきました。
文中にも書きましたが、実際、もう採掘されていない石のはずです。
つまり、
将来的には、在庫がいつかはなくなる、
なくなってしまうことが約束されている石です。
でも、決して悪い石ではないし、
今現在も、大量に流通しておりますし、
価格も一時期ほどではないにしてもリーズナブルです。
例えば、
「豊岡市営霊園でお墓を建てたいが、予算が150万円しかない」
という場合。
永代使用料が80万円支払ったら、残り70万円しかない。
そうなると、普通の石種で周囲と同じサイズ、形のお墓を建てようとしても、
なかなか難しいと思います。
特に最近多い、インドのアーバングレーなどの場合、
外柵+お墓本体で基礎工事も含めて100万円以下は、困難です。
(おおきた石材店の場合です。他の石材店は可能な場合もあるかもしれませんが。。。)
でも、
外柵のみではなく、お墓本体もG623でなら、価格はかなり抑えられます。
(可能かどうかは、実際に見積してみないと不明ですが。。。)
ただ、文字彫刻の問題もあるので、万人にお勧めできるわけではないですが。
以上、中国産みかげ石、G623に関する考察でした。
ご参考になればいいのですが。。
見掛け比重 2.645t/㎥
吸水率 0.186%
圧縮強度 104.17N/m㎡