Q302~倒れる灯ろうの原因ベスト3
①角墓前、丸墓前以外の灯ろう、石以外の灯ろう
いわゆる「庭灯ろう」はお墓ではあまり見ないですが、
まれに立っていることがあります。
が、その庭灯ろうが倒れているのをよく見ました。
おそらく、何らかの接着をしていなかったことが
大きいかもしれません。
この来待石の春日灯ろうもただ乗せて頂けでした。
これらの庭灯ろうは本来しっかりとした形状で
石同士が食い込んで倒れにくい構造だったのですが、
最近のものは接着するので、簡単な構造となっているので、
倒れやすい可能性が。。。
昔のコンクリート製の丸墓前灯ろうです。
当時は安価だったので、みかげ石の代わりに
建てたようです。
ごく稀に立ってますが、比較的よく倒れています。
モルタル(正確にはノロ)で固定してあったので、
経年劣化で縁切りして、倒れてしまったと思います。
「生セメント+砂+水」を混ぜたものをモルタルと呼びます。
コンクリート、セメント構造物と石を固定する場合によく使います。
敷きセメントなどと呼び、基礎コンクリートの上に石を施工するときの
緩衝、固定材として使用します。
「生セメント+水」を混ぜたものをノロ(ペースト)と呼びます。
非常に細かいすき間等にも入り、薄くも施工できるので、昔は灯ろうの施工にも
よく使いました。強度がないので、簡単に外れます。
以前は、このノロでの灯ろう施工がほとんどでした。
でも、このノロ施工は強度がないので、経年劣化で
ほとんど縁切り(石同士が分離してしまう)ので、
どうしても倒れてしまいます。
②ノロ施工の灯ろう
この施工方法では、経年劣化で年月が過ぎると
ほとんどが、縁切り→何らかの影響を受けて倒壊となります。
このパターンの倒壊も多かったですね。
豊岡型の灯ろうですが、笠が落ちていました。
けっこうしっかりとノロが入っていますが、
やっぱりノロだと外れてしまします。
角墓前灯ろうの首から上が落ちてしまってます。
ほぼ全面にノロが入っています。
これでも落ちてしまうので、やっぱりノロ施工では
ダメだということですね。
こちらも、丸墓前灯ろうの首から上が落ちております。
全面にしっかりとノロが入っていますが、
これでもダメですね。
結果として、ノロでの施工では、年月が過ぎると
縁切りしてしまい、分離して、いつ倒れるかわからないとなります。
③施工不良の灯ろう
これは、もう問題外ですが、こういう灯ろうもまれにあります。
倒れた後、分かってしまう場合もあります。
角置き灯ろう、です。まだ新しいですね。
火袋の厚みが薄いので、クッション材(目地テープ)を貼ると
接着剤がほとんど付けられません。
(弾性接着剤で施工してあります)
なので、
このように、四隅の一部をカットしてわずかばかりの接着剤が。
でもほとんど効果なく、笠が外れて落ちております。
目地テープを使うのはいいのですが、
こういう場合、目地テープを細くカットしてその分を
接着剤をしっかりと使うべきだと思います。
これは、ノロではなく、接着剤で止めてあると思うんですが、
あまり良い施工をしてないですね。
形状がそのままなので、半硬化してから笠を乗せたのか
通常、笠はある程度重量があるので、この接着剤がもっとつぶれるのが
本来ですが、ほとんどつぶれていないです。
接着剤が少なすぎる、薄すぎる例。
弾性接着剤は厚みが3ミリ程度以上ないと強度が出ないと
メーカーさんも言っておりますので、これは明らかに少なくて薄い。
ノロ施工は便利で、灯ろう施工には一番合っているのですが、
経年で縁切りしてしまうのを防ぐには、
「生セメント+セメント用接着剤+水」という方法を最近は取っております。
これは、余ったセメントの掃除の際にも、普通のノロとは全然違うのは
明白なので、この方法はある程度有効ではないかと思います。
あるいは、「弾性接着剤施工」
これは、いろいろ施工に制限があるのですが、一番信頼できる方法です。