ユーザーの立場に立つと。(前編)
おはようございます。
但馬、豊岡のお墓と墓石のプロ、おおきた石材店のカズです。
眠そうな顔ですが、実際眠いです。。。(^_^;)
私がこのお墓を建てる仕事を始めた頃は、
墓石ほぼ100%、自社加工でした。
自分で作っていたわけです。
それが当たり前でしたね。
自分でカットして、
自分で磨いて、
自分で彫刻して、
ほぼすべて自分加工でした。
加工の仕方は父に教えてもらいました。
外部に修行へ行ったことは、ないですね。
ほぼ。
で、その頃、よく言われたのが、
「手が切れるような面を作れ」
ということです。
どういうことかというと、
この矢印のように、石の角を「面」といいます。
この面は、加工時、あるいは、研磨時の熟練度によって
どんどん鋭くすることができます。
で、一流の職人は、この面を
「手が切れるくらい」の面と表現するわけです。
一流の職人の作った墓石は、確かにこの面を触ったらわかると言いますし、
それは本当です。
「手が切れそうな面ですね。」とか言います。
カミソリのような面、とかも言うかもですね。
実際、切れないのですが、切れそうなほど細い面ということです。
(実際に手が切れる場合、それは面が磨けてない=加工不良品です)
この面の細さが石職人の実力だ、という価値観が間違いなくあります。
私もその価値観は持っております。
でも、これはちょっと疑問があるんですよね。
石の性質上、この面が尖っていれば(細ければ)、いるほど、
欠けやすく、もろくなります。
自然に存在する石って、基本角がなくて、丸いものが多いですね。
でも、石を割ったときだけ、鋭くとがった石が出来上がります。
しかし、その尖った面を持つ石も、
長い間の風化によって、角が取れ、丸くなるんです。
それを作り出すことが職人の心意気であり、
技能なのですが、
これは職人の世界の話。
お墓は、職人が作り出すけど、
出来上がったら、お客さん、施主さん、
つまり素人の方のものになるわけですよね。
素人の方は、この石の性質を全く知っておられません。
当然ですよね。
石って硬いモノ、という先入観がありますし、
ましてや、自然界にあまり存在しない尖った面を持つ
石の事なんて、知るはずがないわけです。
石が割れた時だけ現れる尖った面。
でも、それがすごくもろいなんてことは、
知るはずがありません。
なので、
施主様に渡ったお墓はすぐに欠けてしまいます。
今、おおきた石材店はその部分を考慮して、
石と石が接触する、当たる部分には、緩衝材として、
目地テープと呼ばれるものを貼っております。
でも、それはほんの気休め。
石同士が当たると、ホントに簡単に欠けてしまいます。
和型のお墓の花立と水鉢は、10年以上経過しているお墓なら
どこかしら、欠けているのが普通となっています。
どうすればいいのか?
どう対応すればいいのか?
いろいろ考えてみました。
当時の私は。。。
(夕方に、つづく)