お墓が失った機能
こんにちは。
兵庫県豊岡市のお墓と墓石のアドバイザー、おおきた石材店、大北和彦です。
梅雨末期の豪雨で九州は大変なことになっていますが、大丈夫でしょうか?
豊岡市も雨続きです。
ところで、「墓」という字をよく考えてみると、
この字は「莫(ばく)」という文字と「土」が組み合わさった文字です。
くさむら(艸)の中に日(太陽)が隠れて見えない、という意味だそうです。
つまり、土(の下)に大切な(太陽の比喩)ものが隠されていて見えない状態、が「墓」という字ですね。
大切なもの、つまり家族の亡骸(なきがら)を土の下に隠して見えなくした状態が墓だということです。
もともとお墓とは、
亡くなった人の亡骸を大地に穴を掘り、その中に埋葬して、その上に土を戻し、
土中深くに安置したもの、です。
ただそれだけでは、場所が分からなくなってしまいます。
ですから、その上にシルシを置いたのです。最初はそのあたりにある小石。
木の枝を置いた時もありました。
そのうち、お寺のご住職という方から、
「こんなの置いたらどうだい?」と言われて、木で出来た柱のようなものを頂きました。
ご住職お得意の筆で何か書かれています。たぶん、仏教的に有難いモノなのでしょう。
でも、そのうち、雨風雪などに晒されていると、全部分からなくなってしまいます。
どうしたものか。。。と思っていると、
隣の村の人が、石に文字を彫ることが出来るすごい人に石にその有難い言葉を彫ってもらったというではないですか!!
じっとしているわけにはいきません。
その人に頼んで彫ってもらうことにしました。
石に掘るんだから、消えるわけない。私が死んでも多分残っているはずです。
つまり、
「墓石」とは、亡くなった人が埋葬(埋まっている)場所を表すシルシ、が本来の意味。
大地がその自らの力で亡くなった人の亡骸を大地に還してくれる。
その大地の力を利用して、亡くなった人の亡骸を大地に還るよう、
人間は大地の奥深くに亡骸を埋めたんでしょうね。
ただ現代のお墓は構造が全く違います。
土葬だった時代から、火葬の時代になって、お墓の構造も全く違ってきました。
火葬なので、土中深くに必ずしも埋葬する必要がなくなったのです。
このことは大きな転換点でした。
火葬によって、すぐに埋葬しなくてもよくなり、極端な話、1年後でも大丈夫になったわけです。
時代はすでにお墓をより大きい石で建てようという時代。
最初は土葬時代の名残で、お骨を土の中に埋めて、その上にお墓を建てるってことをしていたはずですが、
お墓を先に建てて、その中に焼骨を納めるという方法でも構わないじゃないかと、誰か頭のいい人が気付いたってわけ。
それ以来、今日まで、「お墓」とは、「〇〇家専用屋外納骨堂」となったのです。
大地にお骨を還さない。還すことが出来ないのが「お墓」である、とも言えます。
そんな高額の専用納骨堂を建てるなら、共同でいいじゃない?
土に還らないの?それじゃあお墓の意味ないんじゃないの?
まさしく、それがいちばん大事なところなのです。
ご遺骨は勝手に処分してしまうことは法律で禁じられています。
むしろ、日本人の感性なら、粗末にあつかうことは憚(はばか)られます。
本来、「遺骨」とは、土の中で大地に還すことが一番普通な取り扱い、のはずです。
その「遺骨」を大地に還すための装置、であるお墓が「遺骨」を大地に還すことが出来ない装置に成り下がってしまっているのが問題なのです。
「お墓では還らないんじゃあ、還るところに持って行くしかないじゃない」
海洋散骨、樹木葬、散骨という供養方法を選ばれる方は、そう考えているんじゃないのかな。
であれば、
「大地に還る」お墓を作れば、いいじゃない!!
大地に還ることのできるお墓を考えました。