おはようございます。
但馬、豊岡のお墓と墓石のプロ、おおきた石材店の大北和彦(stoneman-ohkita)です。

◇ お墓ディレクター1級:お墓のプロの証、1級取得者は全国で2桁
◇ 墓地管理士:お墓、納骨堂、永代供養墓の法律の専門家
◇(一社)日本石材産業協会正会員、兵庫県支部理事
◇ 石材加工技能士1級:石の加工の技能を表する国家資格
◇ 雨漏りしないお墓「信頼棺®」正規代理店
◇ 「地震に強いお墓」施工店
おおきた石材店
昭和の初めより三代続く、兵庫県豊岡市の小さな石材店。震度7の地震でも倒れなかった「地震に強いお墓」と特許技術「雨漏りしないお墓、信頼棺」の正規代理店。百年後に残るお墓を作っています。

昨日、墓地へ行く機会がありました。
そこで待っている時間、境内の墓地を見て回って、文字彫刻が気になったので、
その記事を書いてみます。
ブラスト彫刻と手彫の違い
文字彫刻は、今はほとんどブラスト彫刻ですが、昔は、手彫でした。
今、手彫できる人がほとんどいません。
ですが、今、手彫のお墓の字を見てみると、やっぱり手彫の方が
美しいですね。
細部にこだわった文字彫刻です。
その違いを是非、分かって頂きたいですね。
ブラスト彫刻の例

こちらは、ブラスト彫刻です。深さはしっかりと深いです。この中で一番深い彫刻です。
ブラスト彫刻の良さは文字の輪郭がシャープに出ることです。この文字もとてもシャープに輪郭が出ています。
でも、いくつか気になる部分があります。
どこでしょうか?
文字彫刻は「熟練」と「未熟」の差が歴然

まず、赤で囲った部分。
よく見ると、底に穴がくぼんだようになっています。
文字の深さがとても深いのでブラスト中に底が見えにくくなって、このように穴が出来てしまいます。
こうなると、埋めようがないので、全体的にこの深さに揃えるということをしますが、
だんだん深くなって、また見えなくて、また穴が。。。。
ということになって、深くなるばかりでよろしくありませんね。
次に、青線で囲った部分。
向かって左側部分ばかりですが、十分に文字の側面が取り切れてません。
まだ残っているんですね。こういう側面が取り切れていない部分は、見たらよく分かります。
ここをしっかりと取り切れるかどうかが、腕の見せ所でもありますが。
逆に、緑色の線の部分。
しっかりと採りすぎていて、えぐれてます。鋭角に彫ってありますので、輪郭部分が多少弱くなります。
時間が経過すると、文字の輪郭が欠けやすくなったりします。
このように安定して、彫刻するのはとても難しいですね。
相対的にこのブラスト彫刻は、ある程度熟練した人の彫刻だと思いますが、
深く彫りすぎていて、あるいは底が見えず、こうなってしまったのかもしれません。
私も注意しなければ。。。という自戒を込めて。
手彫彫刻の美しさ

こちらの文字は、白の色が塗ってありますが、(おそらく後から塗ったもの)手彫彫刻の文字です。
一分、輪郭が崩れそうになっていますが、けっこう古いお墓なので、これは仕方ないのかも。
手彫彫刻は、ノミでえぐっていくので、どうしてもダメージが残り、古くなると輪郭が崩れてきやすい。
また、小さめのシマが欠損しやすいのが、手彫の欠点ですが、文字の底が非常にきれいで、美しいのが、特徴です。
ブラスト彫刻でこのような文字の底を作るのは極めて難しいですね。
上のブラスト彫刻と比較するとよく分かりますが、深さは断然上のブラスト彫刻の方が深いです。ただ、文字の底の平らかさ、均一さが文字の美しさを際立たせています。下の文字は白の塗料が塗ってあるので、写真では少し分かりにくいのが残念ですが、実物を見ると、素人の方でも判別できます。
「手彫り彫刻」の美しさは文字の底にある

こちらは、崩し文字ですが、手彫の文字です。熟練の職人の手による手彫です。
底を平のみでさらってあるのがよくわかります。非常に美しいです。
輪郭もまだ新しいので、問題は全くありません。
側面もしっかりと取ってあるので、膨らんでいる部分もありません。

この文字は「家」という文字ですが、この中心の縦画の底、婉曲している部分ですが、
底がとてもよくわかります。丁寧にノミでさらってあって、素晴らしい文字彫刻ですね。
熟練の職人のブラスト彫刻

こっちは、おそらくブラスト彫刻の非常に上手に彫った文字。
これは、普通の手彫よりも深い。ブラスト彫刻ならではの深さの彫刻ができています。
しかも輪郭にダメージが少ないので、長い年月を経ても輪郭が崩れにくい。
非常に丁寧に彫刻してあるので、ブラスト彫刻でもこれほどの美しい文字彫刻ができます。

この「代」という文字の3画目と4画目の交差の部分。
深さが違いますね。
この部分がブラスト彫刻の雰囲気を残しています。手彫だとこういう風にはならないですね。
新しいハイブリッド彫刻もできます
さて、手彫とブラスト彫刻のいろいろな彫刻を見てきました。
どちらの彫刻でも、熟練の彫刻と未熟な彫刻では、素人の方でもはっきり判別できる違いがあります。
今は、ブラスト彫刻で文字をある程度彫ってから、底をノミでさらうという「ブラスト」+「さらい」彫刻という方法もできます。ハイブリットの彫刻方法ですが、お互いの欠点を補う彫刻方法です。
手彫が今、できる人がほとんどいない現状で、この方法が一番美しい彫刻方法ではないかと思います。
ただ、最初の写真のような深さの文字になるともう底をさらう、という方法が難しくなります。深すぎて、ノミが届かない事態になります。一時期、関西は深さが大事という考え方もありましたが、底を美しく整えるのと、文字の深さは反比例します。深ければいい、というのは少し違うのかなと考えます。



















