兵庫県豊岡市のお墓と墓石のアドバイザー

「山の上のお墓」を下へ移転

    
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「山の上のお墓」を下へ移転

山の上にある墓地を平地の墓地へ移転工事しました。その際、地震対策を考えて、しっかりと強固な建て方をします。トップベース工法はしておりませんが、それ以外の「お墓に強い施工」を施しており、それに近い工事となります。
(この工事は2022年9月に行った工事です)

◇兵庫県豊岡市のお墓のアドバイザー大北和彦です

兵庫県豊岡市のお墓と墓石のアドバイザー、おおきた石材店です。

☑ 兵庫県北部で唯一の「お墓ディレクター1級」
☑ 雨漏りしないお墓「信頼棺®」正規代理店
☑ (一社)日本石材産業協会常任理事

おおきた石材店はお墓のことを全く知らない人にも、お墓を建てる時に大事なことをわかりやすくお伝えすることを第一に考えて情報発信しています。

1、山の上のお墓を下へ

山の上にあるお墓。ここはお寺の裏山に点在している墓地で、かなり急こう配な斜面にお墓が立っています。

お墓の位置から下を眺めると。。。。 下の方に軽トラックが見えるでしょうか?

赤丸の中が軽トラックです。そこまで下ろすのに、赤い線をたどって下ろしていきます。ちなみに、軽トラックに乗せて更に下へ下ろします。軽トラックまでが3分の1程度の距離です。

このように、はしごをかけて、徐々に下ろしていきます。

階段はこのように、土のうを敷いて、段々をスロープにします。そうしないとうまく通れないからです。

上からよりも下からの方が迫力がありますね。

このように、キャタピラがついている運搬車で運んでいきます。小さく見えますが、かなりの力持ちで600キロくらいの重さのものを運べます。(平地で600キロが積載量ですが、このような斜面では半分くらいの重さが限界です。)
お墓の石をすべて持って下ろして、必要な石は新しい墓地のところへ。必要ない石などは、持って帰り処分させていただきます。

というわけで、もともとお墓だった場所は何もなくなり、更地となりました。長い間、墓地として利用させていただいて、感謝です。

2,新しい墓地にお墓を建てる準備

新しい墓地へ石を運ぶ、とはいっても、ただ置いたらオッケーというわけではありません。合計で1トン以上もあるお墓の石を安全に、正確に、長時間(50年以上も!!)同じ場所に設置し続けるわけですから、それなりの対策をしないと、簡単に倒れてしまっては台無しです。

新しい墓地の位置はこちらです。と言ってもわかりずらいかもしれませんが、こちらです。

この赤線の枠内ですね。後ろにもお墓が建てられる予定です。手前は通路ですね。

新しく造成された墓地区画ですから、どういう地盤かは、不明ですが、埋め土区画なので、あまり期待はできません。しっかりと基礎の部分を強固に作らないと。。。

とはいえ、予算もあり、トップベース工法のお墓ではないお墓になりました。(この区画は是非ともトップベース工法を採用したかったのですが。。。)

重機でしっかりと地面を掘っていきます。土ではどんなにしっかりと固めても効果がないので、土をある程度取り去り、その分を「砕石」を埋め直して、しっかりと強固に転圧し(土を砕石に置き換える)その上に乗る「基礎コンクリート」が傾かないように、沈まない用に対策します。

とはいえ、隣の区画のお墓は10㎝程度の基礎コンクリートしかないので(その下の砕石層も10㎝程度)あまり深く掘ると隣のお墓に影響が出そうで、怖いので、50cm程度の深さにします。

50cm程度掘ったら、砕石を入れてい行きます。少しずつ入れていき、転圧(機械で踏み固める)しながら、更に少しずつ、という風に入れていきます。たくさん入れた方が早いように思えますが、たくさん入れると転圧(機械で踏み固める)しても、固まるのは表面だけで、内部は全然固くならないのです。

時間がかかってしまいますが、少しずつ入れて、踏み固めて、入れて、踏み固めてを繰り返します。そうすることによって、非常に強固な地盤が出来るのです。

このように、入れて、固めて、更に入れるという感じです。

さて、取り出した土は、と言うと、上の部分きれいな土は写真左側。こちらはまだ使えるので、再利用します。向かって右側の塊のある土はその下に埋め込まれていた土。こちらは粘土質で石も交じっているので、残土として処分させていただきます。

処分費用も掛かかります。

3,基礎コンクリートを作る

徐々に砕石を入れていき、機械で踏み固めて、規定の高さになったら、基礎コンクリートを作る準備に入ります。基礎コンクリートの外枠になる木の型枠(外枠)を設置。赤色のスプレーで「息抜き穴」と「水抜き穴」の位置を記して、

次は鉄筋を設置していきます。太さは13ミリと通常の鉄筋より太め。でもおおきた石材店では、基本の太さです。今回は200ミリ(20センチ)のマス目が出来る幅で組んでいきます。やや短めの前後の鉄筋を最初に敷いて、

その上に左右のやや長めの鉄筋を敷きます。クロスしている部分はすべて、結束線という針金で固定していきます。これが意外と大変。時間がかかります。慣れないとすぐに針金が切れてしまって、やり直しとなったり。

すべて組めたら、息抜き穴と水抜き穴を設置。狭い区画とはいえ、複雑なお墓の構造に周囲を石で囲ってしまうので、どうしても雨水が溜まりやすいのです。なので、水抜き穴は必須です。

「息抜き穴」というのは、古くからの慣習(?)で亡くなった方をお墓に納めた際、息が出来なくなるから、息抜き穴という穴を開けておく、という習わしです。
そもそもこれは土葬の時代の名残で現在の「火葬」のお墓には、意味のないもの、となっているんですが、敢えて残しております。

さて、外周の木の型枠に補強を施して、完成。この中にコンクリートを流し込みます。

このように、しっかりとコンクリートが出来ました。まだ固まっていないので、色が濃いですね。

10日くらい経過して、型枠等を除去した後の写真です。固まってくると色が白くなります。少し大きめの穴が「息抜き穴」それ以外は「水抜き穴」です。

4,外周の石(外柵石)を設置する

このコンクリートにまず、一番外側の石(外柵石)を取り付けていくのですが、それぞれの石に棒が刺さっていますが、分かりますか?

赤い丸の部分です。これが「耐震ボルト」です。本来は上と下が逆になっているんですが、運搬する際に反対の方が運び安いので、反対にしてあります。設置する際は、上下を反対にして、基礎コンクリートの規定の場所に開けた穴に差し込む、という建て方です。

基礎コンクリートもしっかりと固まりました。コンクリートの端、色が変わっていると思いますが、これは、レイタンス除去作業といって、コンクリートは固まる工程で不純物が表面を覆うので、それを削り取る作業の後、表面に接着剤を塗ったので、色が変わっています。

周りの石から設置していきます。写真のように、石をひっくり返して、耐震ボルトを基礎コンクリートに開けた穴に差し込んでいきます。

ほぼ設置出来ました。基礎コンクリートの穴の位置が極めて重要で、これがズレると思った位置に設置できません。なかなか気を遣う作業です。

5,山の上から持って下りた石の設置

ここまで来たら、あとは山の上から持って降りてきたお墓の石を設置していきます。とはいえ、ただ設置するのではなく、先ほどの免震ボルトを上の石の下面に設置して、下の石にその受け穴を開けて挿入。

接着剤は早く固まるものと固まらないもののダブルで設置。

こんな感じですね。

戒名碑もこんな感じ。

こちらは、免震ボルトが長いのが分かりますか? 足の石だけではなく、台石まで貫通するように長めになっています。

こんな感じですね。

6,石をきれいに清掃して出来上がり

少し汚れ気味だったお墓の石もきれいにクリーニングして、灯ろう、塔婆立ても設置して、出来上がりました。

7,お墓の引っ越しのまとめ

お墓の設置は、知らない人は簡単に置くだけ、と思われがちですが、実際はとても大変な作業です。

もちろん、ただ単に置くだけなら、簡単ですが、お墓の石って極めて重たいのです。すべてを計算したら、1トンを軽く超える重量です。しかも、均等に全体に重量がかかるのではなく、手前が軽く(石が少ない)、奥が重たい(石が多い)場合がほとんどなので、傾くリスクが極めて高いのです。

それでも傾かないように、基礎工事は極めて大事ですし、もし傾いても、お墓の石がズレないように、外れないように、しっかりと固定することが大事です。

50年後、100年後も今と同じ状態でいられるように、お墓の建て方は大事にしたいものです。

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