古いお墓の基礎はどうして残したらだめなの?
お墓じまいされたお墓に再貸付という形で、新しいお墓を建てる場合があります。
そんな時、古いお墓の石垣、ブロック塀、石垣積み後、基礎コンクリートが残っている場合があります。そういう場合、ラッキー、利用できるとか思っていませんか?

◇兵庫県豊岡市のお墓のアドバイザー大北和彦です
兵庫県豊岡市のお墓と墓石のアドバイザー、おおきた石材店です。
☑ 兵庫県北部で唯一の「お墓ディレクター1級」
☑ 雨漏りしないお墓「信頼棺®」正規代理店
☑ (一社)日本石材産業協会正会員
☑ お墓の法律のプロ、「墓地管理士」取得
おおきた石材店はお墓のことを全く知らない人にも、お墓を建てる時に大事なことをわかりやすくお伝えすることを第一に考えて情報発信しています。
実は全然ラッキーではないのです。


こちらは今年の初夏の頃、建てたお墓の下になる石垣。赤線枠、隙間が空いていますね。これは、一番下は取り外すのが、大変なので、残しましたが、上の二つの石は取り外して、据え直ししました。
古いのと、施工が残念な施工だったのが原因です。本来なら、見えている部分の石垣をすべて取り除いて、据え直ししたかったのですが、あまりにも手間がかかりすぎるし、費用も掛かるし、何よりも隣りの墓地との共用部分でもあったので、今回はここのみの改修となりました。


こちらは、今建っているお墓の様子です。実際に外柵石がもう外れそうになっています。長い間、お墓として使用されている間に、劣化が進んで、このようになりやすいのです。
本来、すべて解体して、本格的な改修するのが、正しいのですが、費用が掛かるので、一時的な改修(すぐにまた次の改修が必要になるやり方)で対処してしまう場合が多いです。
また、改修する石材店も本格的な改修は大変な手間がかかり、あまりやりたがらない石材店が一部いらっしゃるので、一時しのぎ、の手法を取る場合もあります。

こちらは古いブロック塀ではなく、先日私が建てたブロック塀、正式には、擁壁ブロックなのですが、こちらも、古いお墓に残っていると、再利用せず新しく施工すべきなのだろうと思いますが、費用対効果と後でも改修できるか、今しないと難しくなるか、どうかを天秤にかけて、検討します。
コンクリート製品は基本、法定耐用年数というものが定められていて、47年と言われています。それはでも高品質の鉄筋コンクリートで、メンテナンスしている前提です。
コンクリート工場で作られた製品を鉄筋を組んで作ったものと、鉄筋が入っていない、自社でミックスしたコンクリートでは、おのずと違ってきます。解体してきたお墓の多くは鉄筋は入っていない場合がほとんどでした。

先日解体した古いお墓の基礎コンクリートもメッシュ筋が入っているだけでした。メッシュ筋は容易に周囲のコンクリートと分離してしまい、あまり効果がありません。ないよりマシ、程度です。
このように、お墓じまいした後、そのお墓に残っているコンクリート製品等は、どの程度の品質か見当がつきません。また、施工後何年経過しているかもわかりません。
ですから、お墓じまいの後、残っている基礎コンクリートはすべて、撤去した後に新しい基礎コンクリートを施工するのが基本です。石垣、ブロック塀等は、直接お墓を支えている場合は撤去、再施工。そうでない場合は、明白な改修が必要な場合は改修工事しますが、そうでない場合は残す。
ただ、残す、残さないは実際のお墓の状況を見ないと判断できません。
だから、「お墓じまい」は基本、「原状復帰」つまり、お墓のためにあったものはすべて取り去ることが基本となるのです。
ただ、土砂が流失する、裏の雑草が生い茂る、などの理由で残す場合は「墓地管理者」と相談して、決めることもあります。