花立の石に水抜き穴を自分で開けたいんですが、可能ですか?
こんばんわ。
兵庫県豊岡市のお墓と石材のアドバイザー、おおきた石材店の大北和彦です。
久しぶりの夕方更新です。
こんなお問合せ頂きました。
「古いお墓の花立に水抜きの穴を開けたいんですが、自分で開けるのは無理ですか?」というもの。
まずは、水抜き穴とは?
目次
水抜き穴とは?
お墓の花立の石をよくみてください。
この穴ですね。この穴が水抜きの穴です。
今のお墓はこのように、花立の石の中にこのようなステンレスの筒(底は閉じているので、水がたまる)になっています。掃除が手軽にできるように、ですね。こうすると水はこの筒の中だけでいいので、花立石には、逆に水がたまらない方がいいのです。腐敗してしまうので。
水を入れなくても、雨水等でどうしても溜まってしまう水を抜くために、側面に穴を開けるのです。
古いお墓や、石屋さんが開け忘れてかもしれませんが、側面、または裏面に穴が開いていないお墓の花立の石があるのです。それを自分で開けたいけど、大丈夫ですか?というお問合せ。
稀に筒がないお墓があります。そのお墓は穴を開けてはダメです。水が全部抜けて、使い物になりません。直接石に水をためて使う旧来の構造の花立です。
お答えですが、
「開けることは可能です。でも、気を付けてください」です。
ただ開ければいい、というものではありません。
何を使って開けるか?
私たちプロの石材業者は通常のドリル等では開けません。
「湿式のコアドリル」で穴を開けます。湿式なので、水をかけながら、筒状の穴開けで開けるわけです。
これがおおきた石材店が使っている機械です。
下に石を固定して、上からボール盤の要領で水をかけながら開けるわけです。
穴を開ける刃はこういう形状です。
実際の刃を見ると筒状になっていて、その先には人造ダイヤモンドが埋まっています。これを回転させながら、穴を開けていくのです。だから、美しく穴が開きます。また、真ん中の石は残るので、円筒状の石が副産物として、残ります。
ちなみに、おおきた石材店で加工して、穴明けをした後の副産物として出た石の円筒状のもの。
欲しい人はお分けしますよ。あまりたくさんありませんが。。。
こういう手法なので、美しく丸い穴が開きます。
市販の道具で開くの?
専用機械ではなく、市販の「電動工具」では? と考えられる人もいるかもしれません。
結論から言えばこんなに美しく開きません。それでもいい、という場合は、穴を開けるだけなら、開けることは出来ます。
道具としては、「ハンマードリル」と呼ばれるもの。
こういうのや、
こういうのですね。こちらは少し小さい「軽量ハンマードリル」と呼ばれるもの。
ハンマードリル、と表記されていますね。
具体的には、
このようなマークがしるされているものが必要です。ドリルのマークとハンマーのマーク。回転しながら叩くようなイメージですね。
使う刃はこんなもの。
このような形状。これはコンクリ―トドリルと呼ばれるコンクリートに穴を開ける刃ですが、石材でも一応使えます。でも、あまり長く使えません。
細いサイズだと、こんな感じです。しばらく使ってないサイズなので、錆が。。。(^_^;)
差し込み形状はSDSプラスという規格です。ホームセンターとかでも一番よく見かける規格です。上の太い方は私は「SDSマックス」というあまり見かけない規格を使っていますが、通常、ホームセンター等で見かけるのは「六角軸」という規格です。
石に穴を開けるのはこういったものが必要です。回転だけでは穴は開きません。回転しながら、叩かないと石に穴は開かないのですね。私たちが使うダイヤモンドのホールソーという構造は人造ダイヤモンドなので、回転しながら少しだけ力を加えると、ダイヤモンドより柔らかい石が少しずつ切れていって、最終的には穴が開きますが、上のハンマードリルは石より硬いものが刃に使われていますが、ダイヤモンドほどは固くないし、穴をそのまま全て貫通させるので消耗も早いです。しかも叩いているので、切り口がかなりガタガタになります。
更にこんな道具。
時々聞かれるんですが、これでは石に穴は開きません。
これ、「電動ドリル」と呼ばれるものですが、これは振動するだけで、叩く機能がないので、基本的にコンクリートや石には穴は開きません。
これに取りつける刃は例えば、
これは、金属に穴を開けるものですが、石には開きません。
これなどは、木工用です。木に穴を開けるものです。石には絶対穴は開きません。
まとめ
以上、石に穴を開けるのはどうすればいいのか、でした。
石って、木とか金属とかとは材質が異なるので、道具が違います。また、ただ単に穴が開けばいい、のか、きれいな穴が開けたいのかで異なります。水抜きの穴は見える位置に空けるので、きれいに開けたいと思います。しかもただ単にどこでもいいのではないです。水が完全に抜けなくてはならないので、穴の位置がけっこう大事になってきます。どの側面に開けるかもよく考えた方がいいと思います。側面なのか、裏の面なのか。
そう言ったことを全て考慮して、開けなければならないので、できればプロの石屋さんにお願いした方が間違いないと思います。