兵庫県豊岡市のお墓と墓石のアドバイザー

他人事ではないお墓の地震対策②

    
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他人事ではないお墓の地震対策②

前回に続いての記事です。地震によるお墓への影響は多岐にわたります。そのお墓の一番弱い部分にどうしても出てしまうのです。

①免震棒の悪影響

お墓の石の裏に付いている白いものは「免震パット」というものです。地震対策に強い効果があると言われています。それに加えて免震棒。写真の真ん中に穴を開けて差し込んであるものですね。

「免震パット」と「免震棒」で完璧施工だと思ったでしょうね。私でもそう思ったかもしれません。

ですが免震棒が抜けた後、元の穴に戻らず逆に邪魔して倒壊したと思われるお墓です。13ミリはありそうな免震棒がかなり曲がっているのがその証拠です。

原因は接着剤の使用量が少ない。なおかつ塊として使用してないので、十分な性能を発揮できなかったと思われます。でも、この面で十分な接着剤を使用していたとしても、おそらくこの上の竿石の部分でこれと同じことになっていたことが考えられます。

想像を絶する地震の力はお墓全体に影響を与え、一番弱い部分に集中して、そこを原因として倒壊が始まると思われます。お墓のウィークポイントをいかに消していくか、そこが凄く大切です。

②カロート、芝台関係

さて、私が以前から懸念していたお墓の一番の弱点。納骨室(カロート)と芝台、一番下のお墓の台ですね。この間の接着問題。接着面がどうしても広く取れない問題です。

納骨スペースにお墓が落ちてしまっています。お墓の重さに耐えきれなかったか、接着が十分ではなく滑って落ちたか。。。

こちらも同様ですね。これは接着面が外れてずり落ちたようです。接着面が十分に取れないのが原因です。施工が悪いというより、構造の問題ですね。

これも同じです。隣の五輪塔も落ちてしまっています。

こちらは何とか落ちずに持ちこたえていますが、危険すぎる状態。施主の方がお墓がずれすぎてご遺骨が丸見え状態なので、ブルーシートで覆って見えない状態に仮対応されているようです。施主様のご心痛がよくわかります。

比較的軽微ですが、お墓全体がずれてしまっていて、遺骨が見える状態になっています。

一石五輪塔(実際は一石ではないですが)の背が高すぎるので、基礎部分が耐え切れず、倒壊して、折れてしまっていますね。こういう背が高くて設置面積の小さなものはほんとに基礎工事を慎重にしなくてはいけません。

③建てる場所の影響

同じ墓地でも、完全に倒壊しているお墓とほぼ無傷のお墓があります。これは私たち石材店がどうこうできる問題ではないのですが、確かにありそうです。

この写真では分かりずらいですが、一直線に被害の大きいお墓が並んでいるんですね。

この赤い線に沿って、倒壊しているお墓が並んでいます。地盤が特に軟弱なのかもしれません。このように、建っている場所の少しの違いで影響が大きく違うことがあります。これはほんとに「運」の部分ですね。

④お墓のデザインでも被害は変わる

先ほどの背の高い一石五輪塔など、顕著ですが、

やはり背の高い構造のお墓ほど強い影響を受け、倒れていることが多い気がします。和型の立派な巨大なお墓ほど、倒壊しているイメージがあり、デザイン墓、特に背の低い、コンパクトなお墓ほど地震の影響を受けていないな、というのが実感です。

具体的には、お墓の設置面積と背丈の比率が倒れるお墓と倒れないお墓とに関係しそうですね。さらにお墓の重量。お墓の重量が大きければ、加速度的に接着している部分に強い力がかかるのは間違いありません。小さなお墓ほど地震の力に耐えきれる可能性が高い気がします。

⑤地震に一番影響を与えそうなのが「地盤」

最後にお墓が建っている地盤。これが一番お墓に影響を与えるようです。岩盤の上に建っているお墓は岩盤自体がお墓の揺れや力を吸収してくれて、影響は限定的になりがちだと言われていますが、軟弱な地盤、掘ると水がすぐ出てくる地盤は地震の揺れをそのまま伝えます。場合によっては「増幅」して伝えてくるのかもしれません。

とにかく軟弱な地盤は本当に地震に弱いのです。

まとめ

前回、今回と2回にわたって地震の被害に遭った墓地の状態を報告しました。

日本は地震大国と呼ばれています。「地震なんて来ないだろ」と思いながらお墓を建てている石材店さん、多い気がします。でも、福島の石屋さんに聞いた話だと、東日本大震災が来る前は福島はほんとに地震が少ない土地だったそうです。みかげ石がたくさん採掘される土地柄だから、強い岩盤で地震がほとんど来ないと思われていたそうです。

でも、今では福島は日本の中でもほんとに地震の多い地域です。

いざというときのために普段の工事の手順は省かない。昔から言われている施工手順は可能な限り守る。接着剤は出し惜しみしない。地震に強い構造のお墓を建てる。そして、地震が来ても影響を受けにくい墓地を選ぶ、そのアドバイスをするということも大事なのかもしれません。

地震の揺れを多少なりとも軽減、というか分散してくれる方法も地震の被害を大きく減らすことが出来るのかもしれません。そういう意味で基礎のその下、地盤に関して、少しいろいろな新しい試みをしてみたいと思っています。

「地震に強いお墓」を建てたい

目的は「地震に強いお墓を建てたい」ということです。

墓地の見学をしている間、女性がブルーシートを持って墓地に来られました。どうやらお墓がずれて、お骨が見える。お骨が雨でぬれるのが嫌でブルーシートで覆う作業を一人でしようとされていたようです。
一緒に見学している石屋さんたちとそのお手伝いをしていると、石材店だということを知った女性が「お墓を直してもらえませんか? 頼むところがないんです」とおっしゃられるんです。

見ず知らずの他人にお願いしなければならないほど、途方に迷われているのは、一目でわかりました。ですが、その方に「はい、わかりました。喜んで」とお答えすることは出来ませんでした。

お墓のプロだと言っても、道具もない、機械もない。何一つ持っていない私たちができることは何一つありません。せいぜいブルーシートが風で飛ばないように、紐で止めるお手伝いをするくらいです。

今現在、私たちができることは何一つありません。残念ながら。。。でも、将来、これから大地震が来た時、この女性と同じ気持ちでお墓の修理をしなくてはならない人を減らすことは出来るはずです。

私たちの取り組み次第で、今後こういった思いをする人を限りなくゼロに近づけることも不可能ではないと考えます。

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