あなたは知らないけど、石材店は知っている「墓石の弱点」
久しぶりに、「お墓の秘密シリーズ」をお伝えします。意外とこちらのシリーズもたくさん記事書いてますよ。
和型のお墓、特に少し古い10年~20年くらいの古いお墓にはありがちな問題。和型のお墓の秘密、をお伝えします。
◇兵庫県豊岡市のお墓のアドバイザー大北和彦です
兵庫県豊岡市のお墓と墓石のアドバイザー、おおきた石材店です。
☑ 兵庫県北部で唯一の「お墓ディレクター1級」
☑ 雨漏りしないお墓「信頼棺®」正規代理店
☑ (一社)日本石材産業協会常任理事
☑ 顧客満足推進委員会委員長
おおきた石材店はお墓のことを全く知らない人にも、お墓を建てる時に大事なことをわかりやすくお伝えすることを第一に考えて情報発信しています。
先日、少し歴史あるお墓のリフォームの見積依頼をいただきました。
かなり巨大なお墓です。この和型のお墓本体だけでも推定ですが、2.5トン程度あります。しかも少し前に傾いていますね。奥のお墓と比較したら、分かりやすいですが。。。
お墓を支える、芝台
この巨大なお墓を支えている部分。一番下の芝台と呼ばれる石ですが、
4つの石で組んで作られています。
どうしてこうなっているか?? わざわざ4つの石に分けて作ってあるわけです。
どうして、「四つ石」??
どうしてなのか?
答えは。。。「石材店が都合がいいから」です。
以前使った別のお墓の画像なのですが、上のお墓の部分をすべて撤去して、四ツ石(芝台)のみにした画像がこちらです。
真ん中のスペースが開いていますね。ここは「カロート」と呼ぶ、お骨が安置されるスペースです。ここにお骨を直接、あるいは骨壺ごと安置されます。
カロートは必ず必要なので、ここは開けないといけないのですが、そのため、敢えて4つの石に分けてあるわけです。
その方が加工が簡単だから。
さらに、ここを一つの石で作るより軽くなるので、運搬もしやすくなり、重さも軽くなり、価格も割安となります。
石材店にとっては「いいことずくめ」
石材店にとっては、良いことずくめ、4つの石にしない理由がない、ように見えます。おおきた石材店も実は、先代の頃はもとより、私が建てたお墓も20年くらい昔まではこのように4つの石を組んで建てていました。(4つ石で組んで建てたお墓のお客様、ごめんなさい)
でも、石材店にとってはメリットだらけの「4つ石」ですが、お墓の持ち主、施主様にとっては全くメリットがないのです。
お骨が収まる「カロート」と呼ばれる部分。お骨が安置される部分なのである程度広い必要があります。
そういった理由で上のお墓全体を赤線の網掛け部分のみで支えていたのです。上の石のおよそ3分の1,いや4分の1しか乗っていないですね。これだけの面積で上のお墓全体を支えているわけです。
4つの石にうまく乗っていたので今まで何とか保ってきた、と言っても間違いはない、はずです。
「四ツ石」が「三つ石」になったら??
これがもし、
ずれて一つの石でも外れてしまって、3つ石?? になってしまったら??
昔は石同士は接着してなかったので、こういうことは可能性としては、あり得ます。
芝台が一枚の石なら、少々ずれてもあまり問題はないはずです。(大きくずれたら問題ですが。。。)でも4つ石だと少しのズレが大きな問題となってきます。
しかも稀に、ですが、このかかり(赤い網掛け部分)がごくごくわずかなお墓も見かけます。どうしてそうなるかというと、それだけ小さな石でできてしまうから。加工する側から見たら、その方が加工も簡単、石代も掛からない、という(またもや石材店にとっては)いいことずくめ。
でも、お墓の持ち主にとっては、お墓がいつ倒れてしまうか分からない、まさしくカウントダウン状態なのです。いいことなど何一つありません。
あなたのお墓の芝台は「四ツ石」にしますか?
現に、お墓をお持ちのあなた、お墓を建てる時、
「芝台は4つ石」にしますか? 「1つ石」にしますか?
と聞かれましたか? 想像ですが、ほぼ聞かれた方はいらっしゃらないと思います。石材店さんは4つ石が当たり前だと考えているから、です。この4つ石を一枚石で作るなんて、想像すらしていないから、です。
昔の私がそうだったから、です。この仕事を始めたころはそういうものだという常識しかありませんでした。その常識を疑うことなんてありえないことだったから、です。
さて、知らないはずのあなたは、墓石の秘密を運よく知ってしまいました。 じゃあどうしますか? 芝台は石材店の言うとおり4つ石で作りますか? 言うとおり、というよりも、黙っていたら、普通に4つ石になります。
まとめ
石材店さんに「芝台は一枚の石でお願いします」とおっしゃってください。確かに場合によっては見積金額が変わってくる場合もあります。特に国産の石材の場合など。でも、それを補って余りあるほどのメリットがあります。
特に関西に多い「関西型納骨(※)」のお墓の場合、4つ石を1枚石の芝台にするだけで、納骨するスペース(カロート)をかなり広く設計することもできます。構造が強固になり、お墓全体がしっかりした構造になり、お墓の一番下の部分である芝台がお墓全体をしっかりと支えてくれます。
それでもあくまで「四ツ石」にこだわる石材店は少なくとも「消費者」、つまりお墓を建てたいと考えているあなたの方を向いていない、見ていない石材店かもしれません。
芝台の変更、ほんのちょっとした変化ですが、お墓の構造が全く違うものになります。
※ 「関西型納骨」とは、お墓の石の「中」にお骨を納める構造のお墓の納骨形式。これとは別に「関東型納骨」と呼ばれるお墓の石の「下」にお骨を納める構造のお墓もある。関西型納骨は納骨が簡単な反面、お骨、骨壺を納めるスペースが狭い、という欠点がある。