耐震ボルト~使い方を間違うな!
ワンピース、結構好きです。
昨日は大事な大事な会議があり、その準備で一日費やしてしまいました。石材業界を少しでも良いものにしよう、という会議なのですが、そのプレッシャーで会議嫌いになりそうな大北です。(意外と好きだったんですがね。。。)
一目で地震対策してあるか、してないかを判別する方法を前回は説明しました。
https://ohkita-sekizai.com/archives/31200
ですが、それだけで地震に強い、弱いって判別できないな、って痛感したのが、福島県視察でした。
耐震棒(耐震ボルト)って大事です
私にとってとても大きな経験となった、またターニングポイントとなったのが、今年5月の福島県の地震被害の視察でした。そこで特に感じたこと。
「耐震ボルト」って大事だな、ということ。
関西ではほとんどお目にかからない「耐震ボルト」(耐震棒)ですが、福島県ではすべてではないですが、多く見かけました。ですが、それが十分威力、効果を発揮できていなかったな、という感想です。
福島視察以降、ほぼ必ずつけるようにしている耐震ボルト。写真の様に外柵の石はもとより、お墓の本体の石にも可能な限り設置するように心がけています。
仮組といって、実際に仮設置してみて、ちゃんと設置できるかをテストしているんですが、このように実際に設置します。ボルトはネジが切ってあるステンレス製のボルトを必要な長さにカットして使っています。
入っていってますね。このボルトが横を向いていたら、穴にちゃんと入らず、施工不良、場合によっては施工不可となってしまいます。
更に正確な位置を決めておかないと全く違う場所に穴が開いていて、全然入らない、ということもあります。
その他のポイントもあります
ボルトの長さが長すぎるとちゃんと収まらないということもあります。事前の仮組は絶対必要ですね。
それ以外にも。。。
〇 穴が大きすぎるとそこに流し込む接着剤が大量に必要。またそれでは実際に地震時に抜ける危険が増え、意味がないので、穴の大きさも適正なサイズがある。
〇 穴をきれいに掃除していないと、接着不良になる。
〇 しかも濡れていると、またもや接着不良になるので、濡れないように養生が必要。
〇 ボルトを上の石に固定。下の石に接着剤を流し込み、そこにボルトを差し込む、という方法がもっとも施工不良になりにくい。
などなど、いろいろな条件が考えられます。これらは、一緒に福島視察に同行した石材店さんたちといろいろ情報交換した結果の結論です。ほんとにいろいろ教えられました。
施工例から耐震棒の正しい施工方法を
実際に見かけたお墓の写真で説明します。
一番上の竿石のみ抜けて、倒壊したお墓。結構長い耐震棒が入っていたのに、抜けています。耐震棒がさび付いているのは、接着剤不足による接着不良であった可能性があります。そして、何より、下の石に固定して、上の石を降ろして施工しているようです。それが一番の原因かも。
こちらも同じような原因と思われます。耐震棒が短いのも原因かも。
蓮華台の受け台の上にかなりしっかりと接着剤が入ってますが、耐震棒がひん曲がっています。こちらも下の石に固定して、上の石を降ろしたことが原因の可能性があります。しかも耐震棒がねじがなく、異形でもなく、ただの丸棒なのも気になります。
こちらも全く同じ。耐震棒が丸棒です。ステンレス製なので錆びていないですが、接着剤が耐震棒の上の方にあまり残っていないので、丸なのでそのまま抜けたのか、それとも接着剤が十分入らなかった施工不良の可能性も。下の石で固定して、上の石を降ろすと、どうしてもこうなります。
このように、耐震棒が入っているお墓でも、下の石に固定して、上の石を降ろしていると、施工不良となるリスクが高くなります。耐震棒自体も異形か、ねじが切ってあるか、丸棒だとそのまま抜けてしまうリスクがあります。
そういったほんの少しの「施工のコツ」のようなものではありますが、地震の現場を視察してみると、気づくことが凄く多くあります。そういった気づきを自分のお墓の建て方に反映することが何よりの地震対策なのだと思います。石材店って、自分ひとり(自社内のみ)で常に完結していて、外部からの情報ってあまり取り入れないことが多いです。その「井の中の蛙(かわず)」、というか情報不足がほんとに大きく、いざという時に大きく違ってくることがあります。
耐震棒だけではない
今回は耐震棒、耐震ボルトを取り上げましたが、施工方法の一つ一つを検証して、より良い方法で、お墓を建てる。それこそが、地震に強いお墓となるのだと思います。一つでもおろそかにすると、何もしないお墓と同様に地震で倒壊してしまうリスクが高くなります。
ホントによくよく考えてお墓を建てていきたいなと思います。