
◇ お墓ディレクター1級:お墓のプロの証、1級取得者は全国で2桁
◇ 墓地管理士:お墓、納骨堂、永代供養墓の法律の専門家
◇(一社)日本石材産業協会正会員、兵庫県支部理事
◇ 石材加工技能士1級:石の加工の技能を表する国家資格
◇ 雨漏りしないお墓「信頼棺®」正規代理店
◇ 「地震に強いお墓」施工店
おおきた石材店
昭和の初めより三代続く、兵庫県豊岡市の小さな石材店。震度7の地震でも倒れなかった「地震に強いお墓」と特許技術「雨漏りしないお墓、信頼棺」の正規代理店。百年後に残るお墓を作っています。

8月13日の朝。
一年ぶりに実家に帰り、母と一緒に手桶を持って墓地への坂を登る。アスファルトの照り返しで、まだ午前中なのにシャツの背中はもう汗で貼りついている。セミの声。どこかで蜂の羽音。
うちのお墓の前に立って、最初に目に入ったのは、花立に挿さったままの造花でした。
去年のお盆に、私が供えたものです。
花立の中で、去年の夏が止まっていた
紫だったはずのリンドウは日に焼けて灰色がかり、葉のプラスチックは白っぽく粉を吹いて、触るとカサカサと乾いた音がする。花立の中を覗くと、雨水が半分たまって、底が黒ずんでいました。
「ああ、一年間、誰もここに来なかったんだな」
それが一目でわかってしまう。造花は枯れない代わりに、時間が止まったまま残るんです。
隣の区画のお墓には、まだ瑞々しい樒と菊が供えてあって、香炉には線香の灰が新しく積もっている。比べるつもりはなくても、目に入ってしまう。あの何とも言えない気まずさと罪悪感は、遠方に住んでいる方なら覚えがあるんじゃないでしょうか。
「掃除だけで半日」は、段取りで変わる
こうなってしまうと、お参りの前にまず大掃除です。
- 花立の中の黒い水を捨てて、中を洗う(ここが一番臭います)
- 香炉の灰に混じった枯れ葉と蜘蛛の巣を取る
- 墓石の水垢と鳥のフンを落とす
- 周りの雑草を抜く
真夏の墓地でこれをやると、体感で2〜3時間。「お参りに行く」つもりが「作業をしに行く」日になって、手を合わせる頃にはヘトヘト——というのが、年に一度しか来られないお墓の現実です。
石屋からのアドバイス

石屋からのささやかなアドバイスとしては、最初に草むしりと落ち葉拾いを済ませること。
順番は、①草むしり・落ち葉拾い → ②墓石を上から水洗い → ③花立・香炉、です。
理由は2つあります。
ひとつは、先に墓石を水洗いすると、濡れた落ち葉が石や地面に貼りついて、拾うのが一気に面倒になるから。乾いているうちに掃くのが一番早いんです。
もうひとつは、真夏の墓地では途中で心が折れることが珍しくないから。炎天下で体力を使い果たして「もういいや、また今度」となったとき、草むしりを後回しにしていると、草ぼうぼうのお墓がそのまま残ります。せっかく掃除に来たのに、遠目には「誰も来ていないお墓」のまま。これでは来た意味が半減してしまいます。
一番大変で、一番お墓の見た目を左右する草むしりを、体力のある最初に片付けておく。途中でギブアップしても、草さえ抜けていればお墓はちゃんと「手が入った顔」になります。
道具は、実家にあるもので十分です。ほうきと塵取り、柔らかいスポンジ、歯ブラシ(彫刻文字の中用)、雑巾2枚、ゴミ袋。とくに「ほうきと塵取り」は忘れがちですが、木の近くにあるお墓など落ち葉の多い墓地では、これが一番の主役になります。手で拾うのと掃くのとでは、かかる時間がまるで違います。
逆に、金属ブラシと台所用の強い洗剤はやめてください。石の表面の艶(研磨面)を傷めて、かえって水垢が付きやすい石になってしまいます。また、強い洗剤は使う分には問題ないのですが、完全に流し落としてしまう大量の水が必要。近くに水道があればいいのですが、なければ避けた方がいいですね。
造花は「悪」なのか
ここで造花の話に戻ります。
「造花はお墓に失礼」という声を聞くことがありますが、私はそうは思いません。ただ、長年この仕事をしていて思うのは、本当の分かれ目は造花か生花かではなく、「供えっぱなしにするかどうか」だということです。
生花を供えっぱなしにすれば、数日で腐って花立の水が傷みます。造花を供えっぱなしにすれば、腐らない代わりに、冒頭に書いたとおり色あせたまま何年も残り続けます。つまり「供えっぱなし」を選んだ時点で、どちらの花にもそれぞれの問題が起きるんです。
だから、遠方の方に私がおすすめしているのは次のどちらかです。
- お参りの間だけ供えて、帰るときに持ち帰る。
この場合、持ち帰るのですから生花で構いません。むしろ、その日だけでも本物の花と香りを供えられる生花がいちばん良い供え方だと思います。花立は帰ったあと空でいい、というのが正直なところです。空の花立は「サボり」の証拠ではありません。 - どうしても供えたまま帰りたいなら造花にして、翌年は「片付けて交換する前提」で来る。
去年の造花を片付けることまで含めてお参り、と考えれば、罪悪感の種にはなりません。
「生花を供えて帰りたい。でも枯れたあとが気になる」という方のために、おおきた石材店では有償でお花だけの回収も承っています。お参りのあと数日してから私どもが花を引き上げてお墓を元の状態に戻しますので、遠方にお住まいでも、気兼ねなく生花を供えて帰っていただけます。
但馬・豊岡近辺のお墓でしたら、お気軽にご相談ください。
「花が挿さっていないお墓は寂しい」という気持ちもよくわかります。でも、一年経って灰色になった造花のほうが、正直、ずっと寂しく見えます。
罪悪感の正体は「行けないこと」ではない
この記事で一番書きたかったのはここです。
遠方に住む長男・長女の方とお話ししていると、みなさん「年に一回しか行けなくて、ご先祖様に申し訳ない」とおっしゃいます。でも、長年この仕事をしていて思うのは、罪悪感の正体は「行けない回数」ではなく、行ったときに荒れているのを見てしまうことなんですね。
年に一度でも、行ったときにきちんと手を合わせられる状態なら、人はそんなに自分を責めません。逆に、月に一度行ける距離でも、行くたびに草と汚れと格闘していたら、お墓は「気が重い場所」になっていきます。
だから、遠方に住む方への私の答えはシンプルで、
「回数を増やす努力より、一回のお参りが気持ちよく終わる状態をつくること」
です。生花を持ち帰るのも、掃除の順番を決めるのも、全部そのための小さな工夫です。そして、草むしりが毎年の最大の敵になっているなら、墓地の防草対策のような「一度やれば効き続ける」方法を検討する価値もあります。
(これはまた別の記事で詳しく書きます)
カラカラの造花は、ちゃんと役目を果たしている
去年の造花を片付けながら、ふと思いました。
この灰色になった花は、一年前の私が確かにここに来て、手を合わせた証拠でもあるんだな、と。
だったら今年は、片付けるところまでがお参り。花立を洗って、新しい水を張って、線香をあげて、帰り際に「また来年」と言ってお墓を去る。それで十分、お墓は守れています。
遠くに住んでいても、お墓との付き合い方は工夫できます。「久しぶりに行ったら大変なことになっていて、どこから手をつけていいかわからない」という方は、お墓のある地域の石材店に相談してみてください。
但馬・豊岡近辺のお墓でしたら、おおきた石材店でもご相談をお受けしています。
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