「積んであるだけ」では建造物は守れない
モロッコで9月8日、大きな地震が発生しました
◇兵庫県豊岡市のお墓のアドバイザー大北和彦です
兵庫県豊岡市のお墓と墓石のアドバイザー、おおきた石材店です。
☑ 兵庫県北部で唯一の「お墓ディレクター1級」
☑ 雨漏りしないお墓「信頼棺®」正規代理店
☑ (一社)日本石材産業協会常任理事
☑ 顧客満足推進委員会委員長
おおきた石材店はお墓のことを全く知らない人にも、お墓を建てる時に大事なことをわかりやすくお伝えすることを第一に考えて情報発信しています。
地震の規模を示す目安、マグニチュードは6.8と言われ、2,800人以上の人が亡くなられ、2,500人以上の人がけがをされたとのことです。
確かに大きな地震です。被害もたくさん出ています。
ですが、日本で同様の地震が起きたとして、これほどの被害が出たでしょうか?
私は素人なので、適当なことしか言えませんが、おそらく2桁の被害で済んだように思います。場合によっては、死者はゼロ、となったかもしれません。
なぜなら、日本は地震が多く発生する国なので、地震対策はかなり進んでいるからです。一方、モロッコの地震事情はよく知りませんが、ニュースのまた聞きでは地震がほとんど起こらない土地柄だと聞きました。上の写真を見ただけでもそれは想像できます。
レンガを積んだだけの建物がまさしくがれきになっています。日本のように鉄筋を入れたコンクリート製の建物ではないのです。
積んであるだけ、で思い出すのは。。。
これで思い出すのは、日本の、関西地方のお墓です。(やっと本題だよ。。。)
マグニチュードとは、地震のエネルギーの値なので、その建物が建っている場所がどの程度揺れたか(震度)が正確にわからないと、どの程度倒れるかは不明ですが、関西の多くのお墓も同様にマグニチュード7弱の揺れで、倒壊してしまう可能性がある、ということです。
接着してあるから「積んであるだけ」は違う
という意見もあります。確かに、昔はほんとに積んであるだけでしたが、今は接着剤を使用しているお墓が増えてきました。でも、接着剤を使っているから、倒れない。被害を受けないというのも、違う気がします。
正しく使用すれば性能内の効果がある
薬でよく聞かれるフレーズですが、接着剤でも同様です。正しい処方箋(扱い方)を守っていれば、決められた範囲内の性能は発揮できますよ、ということです。では、決められた扱い方をされているか、どうか??
〇 接着剤が付着する面は十分な乾燥、掃除がなされていますか?
〇 接着する石と石の隙間を3ミリ以上キープしていますか?
〇 一度、接着した石と石は動かさず、硬化するまで固定していますか?
〇 3ミリの幅の隙間をシール(目地加工)していますか?
〇 接着剤の性能は空気に触れる、水分に触れるなどで性能低下する場合があります。対策を施していますか?
こういったことを守っているかどうか? 守っていなければ接着剤の性能は大幅に低下している可能性もあります。また、正しい方法で使用した接着剤で固定するだけで大丈夫なのか?
接着剤も耐用年数がある
おそらく10年というのが一つの目安なんだろうと思います。工業製品の耐用年数の目安。接着剤も同様かと、思われます。しかし、お墓というのは何十年、何百年という長い間、存在し続ける存在です。高々10年で性能が下がるようなもので、いいのか?
特に、お墓を支える部分を担保する接着剤は、とても不安ですよね。10年って、短すぎるという気がします。そこで、おおきた石材店は固定金具と併用しております。
このようなステンレスの金具をお墓に使用していいのか、という部分は人によって異なります。だめだ、という人は残念ながら、おおきた石材店では、お墓を建てることができません。
とはいえ、先日、私が建てた30年以上昔のお墓を「お墓じまい」させていただきました。
予想はしていましたが、基礎コンクリートはなし。石の上に石を乗せてあるだけ。今までに地震が来たらおそらく間違いなく倒壊していたはずです。
今でこそ、このような構造でお墓を建てていますが、30年くらい昔に建てたお墓は今とは比較になりません。容易にずれたり、倒れたりしやすい構造です。
お墓といえども、大切な構造物でありますし、何より敷地面積と重量を比較すると、単位当たりの重量の大きいモノでもあります。法律がないから、と言って基礎工事をおろそかにするのは、間違っているし、危険です。