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    隣の区画のおばあちゃんに教わった、お墓の花が長持ちする水の話

    お盆の墓地の水汲み場は、地域の先輩たちの知恵の宝庫です。隣の区画のおばあちゃんに教わった花を長持ちさせるコツと、その裏にある理屈(敵は水の中の雑菌です)を石屋が補足しました。真夏の生花の限界についても正直に書いています。

    ◇ お墓ディレクター1級:お墓のプロの証、1級取得者は全国で2桁
    ◇ 墓地管理士:お墓、納骨堂、永代供養墓の法律の専門家
    (一社)日本石材産業協会正会員、兵庫県支部理事
    ◇ 石材加工技能士1級:石の加工の技能を表する国家資格
    ◇ 雨漏りしないお墓「信頼棺®」正規代理店
    ◇ 「地震に強いお墓」施工店

    おおきた石材店

    昭和の初めより三代続く、兵庫県豊岡市の小さな石材店。震度7の地震でも倒れなかった「地震に強いお墓」と特許技術「雨漏りしないお墓、信頼棺」の正規代理店。百年後に残るお墓を作っています。

    目次

    水汲み場は、墓地の井戸端です

    お盆前の墓地の水汲み場は、ちょっとした社交場になります。

    手桶を洗う人、花の茎を切る人、順番を待ちながら「今年は暑いなあ」と言い合う人。ここで交わされる会話には、何十年もお墓を守ってきた人たちの知恵が、さらっと混ざっています。

    今日はその中から、隣の区画のおばあちゃんに教わった話を。花立の水の話です。

    「あんた、筒の中、ぬるぬるしとるやろ」

    水くみ場ではこんな会話が交わされることがあります。

    水汲み場で花立のステンレス筒を洗っていたときのことです。隣で花を整えていたおばあちゃんに、声をかけられました。

    「あんた、その筒、中がぬるぬるしとるやろ」

    触ってみると、たしかに筒の内側がぬるっとしている。

    「それを落とさんと、水だけ替えても花はもたんのよ。うちはタワシで中までこすっとる」

    「へえ、そうなんですか」

    「それとな、茎は水の中で切るんよ。切ってから挿すんやのうて、水に浸けたまま切る。うちの母がそうしとった」

    「水の中で、ですか」

    「そう。それだけで花のもちが違う。だまされたと思ってやってみ」

    石屋として墓地には人一倍通っていますが、花のことは正直、専門外です。帰って調べてみたら、おばあちゃんの言うことには、ちゃんと理屈がありました。

    おばあちゃんの知恵の、理屈の部分

    花が早くしおれる一番の敵は、暑さそのものより水の中の雑菌です。

    雑菌が増えると、水を吸い上げる茎の切り口や導管が詰まって、花は水のそばにいながら水切れを起こします。夏の花立は水温が上がるので、雑菌にとっては培養器のような環境です。

    そう考えると、おばあちゃんの教えは二つとも理にかなっています。

    筒の中のぬるぬるを落とす——あのぬめりは雑菌の膜(バイオフィルム)です。ここを残したまま新しい水を入れても、すぐに元の雑菌だらけの水に戻ります。水を替える前に、筒の内側をこすって洗う。これが先です。

    茎は水の中で切る——いわゆる水切りです。空気中で切ると、切り口から導管に空気が入って水の通り道を塞ぎます。水中で切ればそれが防げて、新しい切り口から水を吸い上げやすくなります。切り口は斜めにすると吸水面が広くなります。

    補足するなら、あと二つ。水に浸かる位置の葉は取ること。水中の葉は腐って雑菌の栄養になります。それと、家庭の知恵として塩素系漂白剤をほんの一滴だけ水に落とすという方法もあります。雑菌を抑えるという理屈で、生花店でも使われる手です(入れすぎは逆効果なので、あくまで一滴)。

    正直に言うと、真夏の墓地では限界があります

    ここまで書いておいて何ですが、石屋として正直なことも書いておきます。

    これらの工夫をぜんぶやっても、8月の炎天下の墓地では、生花は数日が限界です。直射日光と40度近い水温の前では、どんな知恵にも勝ち目はありません。長持ちの工夫は「3日が5日になる」話であって、「お盆に供えた花が彼岸までもつ」話ではないんです。

    だから、以前の記事にも書いたとおり、遠方の方はお参りの間だけ生花を供えて、帰るときに持ち帰るのが一番きれいな付き合い方だと思います。数日後に片付けに来られるご家族がいるお宅は、今日の知恵で花のもちを延ばしてあげてください。

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    おわりに:水汲み場で聞いた知恵は、聞き返せるうちに

    あのおばあちゃんとは、その後もお盆の時期に何度か水汲み場で一緒になりました。花の話のほかにも、この墓地の水道が引かれる前は下の川から水を担いで上がった話や、区画ごとの家の変遷なんかも教わりました。

    墓地の知恵は、教科書に載っていません。何十年も通った人の手の中にだけあって、水汲み場の立ち話で、たまに次の世代に渡されます。この夏、墓地で先輩に声をかけられたら、少し立ち止まって聞いてみてください。花の一本も長持ちする上に、そのお墓とその土地のことが、ちょっと好きになります。

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      この記事を書いた人

      兵庫県豊岡市のお墓と墓石のアドバイザー。兵庫県北部での唯一の「お墓ディレクター1級」取得。供養のプロ、墓地管理士。「お墓」に関する記事を1500以上執筆中。現在お墓に関する記事を365日毎日更新継続中。(一日怪しい日があるが。。。)地震に強いお墓と雨漏りしないお墓を建てています。

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